
中国政府は先月30日、国際連合の国連海洋法条約(UNCLOS)に関する評価報告書を公表した。
中国は同条約の締約国となって30年を迎えたことを踏まえ、条約を尊重する姿勢を示した一方で、条約に基づいて設置された仲裁裁判所による南シナ海の管轄権を巡る判断については受け入れないとの立場を改めて示した。
中国官営英字メディアのグローバル・タイムズによると、中国自然資源部は同日、「UNCLOS―成果、立場及び課題」と題する報告書を発表した。
グローバル・タイムズは「この報告書はフィリピンが南シナ海を巡る違法な仲裁手続きを進めるため、国連海洋法条約を継続的に悪用している中で公表された」と伝え、報告書の狙いを説明した。
報告書では、中国はUNCLOSに基づく義務を一貫して誠実に履行してきたものの、依然として内在する課題や早急な対応が必要な外部からの問題に直面していると指摘した。
また、条約の趣旨を誤って解釈・歪曲したり、紛争解決手続きを乱用したり、司法や仲裁の管轄権を恣意的に拡大したりする動きが見られると主張した。
これはフィリピンが提起した南シナ海仲裁を念頭に置いたものとみられる。
フィリピンは2013年1月、ハーグ常設仲裁裁判所に対して中国が九段線を根拠に南シナ海の大部分の主権を主張しているのは不当だとして仲裁を申請した。その後、2016年7月、仲裁裁判所はフィリピン側の主張を認める判断を示した。
ハーグ常設仲裁裁判所は1982年に締結されたUNCLOS第7附属書に基づいて設置された。仲裁裁判所は約3年半に及ぶ審理を経て、中国の南シナ海における広範な権利主張を否定する内容を盛り込んだ約500ページの裁定を全会一致で下した。
報告書の主任執筆者で中国海洋発展研究院のルオ・ガン研究員はグローバル・タイムズの取材に対し「フィリピンは領土主権を巡る紛争を海洋権益を巡る紛争であるかのように装い、国連海洋法条約の枠組みで解決しようとした」と述べ「領土主権を巡る紛争は条約の管轄対象外だ」と主張した。
さらにルオ研究員は「条約は海洋権益に関する問題のみを対象としており、領土主権を巡る紛争を扱う権限はない。中国とフィリピンの対立の本質は島や岩礁の領有権問題にある」と説明した。
その上で「条約が領土主権問題に管轄権を持たないにもかかわらず、フィリピンは強制仲裁を開始するため、意図的に領土問題を海洋権益問題へとすり替えた」と批判した。
報告書でも「フィリピンは意図的な訴訟偽装によって、本来は条約の管轄外である領土紛争を仲裁可能な案件へと強制的に変更した」と指摘している。
また報告書では、条約が抱える内在的な課題や外部からの問題についても言及した。
その一例として、一部の国が海洋の自由を航行の自由と悪用し、国際水域という概念を作り出していると主張した。
これは、米国などが南シナ海を国際水域と位置付け、航行の自由が認められると主張したことに反論している。














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