
米国の保守系政治活動家で元大統領首席戦略官のスティーブ・バノン氏は、民主社会主義者が選挙で勝利を重ねていることについて、米国政治は大きな転換点を迎えているにもかかわらず、民主、共和の両党ともその変化に十分対応できていないとの認識を示した。
バノン氏は、米政治専門紙ポリティコが2日(現地時間)に掲載したインタビューで、「我々は新たな政治の時代に直面している。古い政治は目の前で終わりを迎えつつある」と述べた。また、ニューヨーク市長のゾーラン・マムダニ氏とその協力者らが、民主党の既得権層が軽視してきた支持層の支持を取り込んだと指摘した。
さらに、左派が掲げる「無償家賃」政策に対する共和党の対応は不十分だと批判し、共和党は右派ポピュリズム政策を前面に打ち出すべきだと主張した。以下はインタビューの要旨をまとめた。
――ポピュリズム左派はニューヨークに続き、西部コロラド州でも勝利した。その意味をどう見るか。
もはや政治は資金力だけで決まる時代ではないことを示している。彼らは有権者一人ひとりと直接向き合い、メッセージを通じて支持を広げ、勢いを築いている。資金面では常に劣勢だったが、人々とつながり、自らの考えを伝えて支持を得るために膨大な努力を重ねてきた。それこそが現代政治で通用する『通貨』だ。資金力の差はもはや決定的な要素ではない。
――民主社会主義者のメラト・キロス氏が民主党の現職議員を破った。「従来型の政治」はどのように変化したと考えるか。
民主社会主義者は全国的な勢力であり、水面下で組織力を強化するとともに、遊説活動を展開してきた。民主党の既得権層が彼らに追いつくには手遅れだった。共和党も同じだ。
――これは民主党にとって、ドナルド・トランプ米大統領の台頭に近い現象なのか。それともティーパーティー(2009年に米国で政府支出の拡大や増税への反対を掲げて起きた保守運動)の登場に近いのか。
「これはティーパーティーのような瞬間だ。ただ、ティーパーティーはオバマ政権への反発であり、金融機関への公的資金投入への反発であり、2008年の金融危機への反発でもあった。そのため、短期間で既存の政治に取り込まれてしまった。今回はティーパーティー以上にイデオロギー色が強い。ただ、これはポピュリズムではない。マルクス主義的でジハード的な運動であり、彼らは止まらない。
彼らが掲げているのは左派ポピュリズムだ。彼らは反既得権を前面に掲げて選挙運動を展開している。一方で、巧みにトランプ氏を正面から攻撃することは避けている。標的としているのは民主党の既得権層だ。『我々にとって問題はトランプではない。トランプを止めるべき人たちが、トランプ側に取り込まれてしまったことだ』と訴えている。
極めて巧妙な戦略であり、有権者の共感も呼んでいる。民主党が彼らを止められないのはそのためだ。民主党の既得権層は彼らを正しく理解できておらず、有効な対抗策も持ち合わせていない。
――トランプ氏は「共産主義」の脅威を強調している。あなたもマムダニ氏らを「マルクス主義者」と呼んできた。こうした民主社会主義者の勝利は、中間選挙で共和党にとって追い風になるのか。それとも逆風になるのか。
マムダニ氏に勝つには、強力かつ継続的で、大規模な有権者の動員が必要だ。共和党は中核的な支持層をさらに結集させなければならない。共和党が勝利する唯一の道は、トランプ支持者が大統領選の時と同じように大挙して投票に向かうことだ。
――共和党がマムダニ氏のような人物を悪者扱いするだけでは不十分だと考えているのか。
共和党は「家賃無償化などあり得ない」と主張している。しかし、多くの人が家賃の高騰に苦しんでいる中で、「家賃無償化はあり得ない」と訴えるだけでは勝てない。
住宅問題を左派がポピュリズム的な政策として打ち出しているのであれば、それに対して真のポピュリズム経済政策で対抗しなければならない。家族を経済政策の中心に据えて反撃すべきだ。人々に代替案を示さなければならない。悪魔化するだけでは十分ではない。
――2028年の大統領選をどう展望するか。
我々は新たな政治に直面している。古い政治は目の前で終わりを迎えつつある。人工知能(AI)や少数支配層、そしてマルクス主義的なジハード主義者といった脅威が政治を再定義し、それに立ち向かう覚悟を持った人々が台頭してくるだろう。減税と戦争という古い政治を続け、イスラエルの言いなりになっているようでは終わりだ 。
――次の大統領選で共和党が勝利するには、何が必要か。
徹底的に粘り強くなければならない。少数支配層や巨大テック企業を打ち負かし、人々に真の機会を提供するために何をする覚悟があるのかを、具体的に示さなければならない。この国では、資本を握る人々がごく一部に集中しており、国民の80%は資本主義体制に全く参加できていない。我々の体制に急進的な変革をもたらす覚悟が必要だ。













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