「アラブ版NATO」が浮上するか…フォーリン・ポリシー、イラン戦争後の中東秩序を展望

イラン戦争を契機に中東ではサウジアラビアが主導する新たな枢軸が形成され、このブロックが戦争における潜在的な勝者として浮上したと、外交専門誌のフォーリン・ポリシー(FP)が1日に分析した。
このブロックは湾岸協力会議(GCC)より広範な枠組みであり、GCC加盟国のサウジアラビアとカタール、そしてエジプト、パキスタン、トルコなど非湾岸国家が参加国として挙げられた。一方で、アラブ首長国連邦(UAE)がここに姿を見せていないことの方が、より注目されるとFPは指摘した。
このグループの目的は大きく二つある。イランおよびその代理勢力の脅威を抑止すること、そしてイスラエルの軍事的な強硬姿勢にも備えることである。
これらの国々には共通認識があるものの、イランへの対応やイスラエルとの国交正常化を進めるかどうかについては意見の相違も存在する。
それでも、イラン戦争をきっかけとして新たな地域秩序が形成されつつあるという。
イスラエルが昨年9月、ハマス指導部への攻撃を名目にカタール・ドーハを攻撃したことにより、湾岸諸国は「次は自分たちかもしれない」と考えるようになった。これがサウジアラビアとトルコのような競争関係にある国々を接近させる契機にもなった。
パキスタンの核兵器は、サウジ・パキスタン防衛体制の下で、イスラエルに対抗する抑止力として機能している。
このグループに正式名称はないが、イスラエルのメディアは「スンニ派同盟」あるいは「拡大するイスラム版NATO」と表現しているとFPは伝えた。
このブロック形成の背景には、サウジアラビアとUAEの間で深まる不信感があるとの分析だ。両国とも石油依存経済からの脱却を進める中で、サウジアラビアはUAEのように外国投資を呼び込むために競争している。
「アラブの春」以降、両国はムスリム同胞団を共通の脅威と認識し地域政策でも足並みをそろえてきたが、現在では利害が分かれつつあるとFPは見ている。
また、新たなグループ結成には、サウジアラビアが地域の指導的地位を確立しようとする狙いもあるとFPは分析している。
さらに、UAEが石油輸出国機構(OPEC)を脱退したことも、「サウジアラビアが地域の主導国である」という前提に疑問を投げかける要因となったという。
サウジアラビアはイラン戦争において近隣諸国より攻撃を受けることが比較的少なく、石油需要の増加と価格上昇の恩恵を受けた。3月にホルムズ海峡が封鎖された際にも、輸出額は3年ぶりの大幅な増加を記録した。
カタールは2017年、バーレーン、エジプト、サウジアラビア、UAEの4か国から断交・封鎖措置を受けたが、現在では仲介国としての地位を確立している。
カタールは今回の戦争で、世界最大級の液化天然ガス施設の一つであるラス・ラファン産業都市が操業を停止し、輸出能力が約17%減少するなどの被害を受けた。
しかし、5月中旬にパキスタンの和平仲介が十分な成果を上げられなかったことが明らかになると、カタールは仲介外交に本格的に取り組むようになった。
先月、スイス・ルツェルンで行われた米国とイランの協議は、イスラエルとヒズボラの交戦により決裂の危機に直面したが、カタールの仲介者が土壇場で事態を収拾したと評価されている。
カタールはイランとのパイプを通じて、ヒズボラが停戦に同意する声明を出すよう働きかけ、米国はイスラエルに自制を促したという。
エジプトは、サウジアラビアによるインフラ拡張事業に参加して利益を得ることを期待している。サウジアラビアはシナイ半島へ通じる橋の建設計画を正式に打ち出し、エジプトの地中海沿岸を欧州への玄関口とする構想を進めている。
トルコは、安全保障上の懸念が当面解消されないと見込み、兵器輸出の拡大を期待している。
パキスタンは、テロ組織を支援したとの理由で長年国際社会から批判を受けてきたが、今回の戦争では米国とイランの仲介役としての役割が注目を集めた。
FPは、UAEが将来的にこのブロックへ参加するかどうかは依然として不透明だとみている。
今回の戦争でUAEは、イランから3,000回を超えるミサイル・ドローン攻撃を受け、その回数は他のGCC加盟5か国への攻撃総数を上回った。このため、UAEはイランに対してより強硬な立場を取っている。













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