「自分の政権と合意し、自分の税務調査を止める」トランプの前代未聞の“自己免除策”に裁判所が鉄槌
IRS相手の損害賠償請求訴訟を取り下げ 「合意による解決」と呼ぶことを認めず、裁判所が判断
司法長官代行のIRSへの指示は法違反と判断

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は13日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領が米内国歳入庁(IRS)を相手取って起こした訴訟を取り下げたと報じた。米連邦裁判所は、トランプ氏が自らの指揮下にある司法省との合意を通じてIRSによる追徴課税を事実上免れたことについて、「不当な自己取引」に当たるとの判断を示した。
米フロリダ州南部地区連邦地裁のキャスリーン・M・ウィリアムズ判事は、56ページに及ぶ判決文で、「訴訟の性質に加え、提訴時からの当事者や代理人の行動を踏まえると、今回の訴訟は大統領とその関係者・関係団体に免責を与える合意に正当性を持たせるため、裁判所を利用しようとした試みだったことを明確に示している」と指摘した。
トランプ氏は1月、第1次政権時代に自身の納税申告書が流出した責任を問うとして、IRSを相手取って提訴し、少なくとも100億ドル(約1兆6,200億円)の損害賠償を要求した。 これに対し、米司法省はトランプ氏の主張に反論してIRSを擁護する通常の訴訟対応を取らず、合意で訴訟を終結させた。
合意では、いわゆる「政府の武器化」の被害者だと主張するトランプ氏支持者らを補償するため、18億ドル(約2,929億1,300万円)規模の政府基金を設立することが盛り込まれた。 この合意は直ちに政治的論争を招き、最終的にトッド・ブランシュ米司法長官代行は基金を設置しない方針を明らかにした。
合意にはこのほか、トランプ氏とその家族、さらに同氏が所有する企業をIRSの税務調査の対象外とする内容も含まれていた。
ブランシュ氏はIRSに対し、トランプ氏一家に対する進行中の税務調査をすべて打ち切るとともに、すでに提出された納税申告書についても新たな調査を実施しないよう指示した。
この合意はトランプ氏に多額の経済的利益をもたらす内容だったが、共和党議員から目立った異論は出なかった。ブランシュ氏は、この合意は維持されるとの考えを示した。
NYTは、トランプ氏に対するIRSの税務調査で1件でも不利な判断が下されれば、同氏が1億ドル(約162億3,000万円)を超える負担を強いられる可能性があったと報じていた。
ウィリアムズ判事は、税務調査の免除に関する合意について、訴訟の和解として扱うことはできないとの判断を示した。
専門家らはこれまでも、ブランシュ氏にはIRSに税務調査の中止を指示する権限はないと指摘してきた。これについてウィリアムズ判事は、ブランシュ氏によるIRSへの指示は、ホワイトハウスによるIRSの税務調査への介入を禁じた連邦法に違反していると指摘した。
ウィリアムズ判事はまた、トランプ氏によるIRSへの提訴を担当した弁護士について、懲戒処分の検討を求め、フロリダ州弁護士会に付託した。さらに、今週上院で承認公聴会を控えるブランシュ氏に関する調査を促すため、自らの判断をニューヨーク州弁護士会にも通知する考えを示した。
ウィリアムズ判事はまた、ブランシュ氏が5月の上院公聴会で、「訴訟は却下され、合意を審査する『何らかの仕組み』も存在しなかったため、合意書が裁判所に提出されたことはない」と証言したことについて、トランプ氏が法で認められていないにもかかわらず、自身に利益をもたらすために民事司法制度を利用しようとしたと指摘した。
ウィリアムズ判事は、「この回答は好意的に見ても誤解を招くものであり、悪く解釈すれば欺瞞的なものだ」と批判した。 また、司法省が、トランプ氏が提訴期限を過ぎた後に訴訟を起こしたという点を含め、同氏の主張に対抗できる複数の抗弁を一度も示さなかったことも指摘した。
ウィリアムズ判事は、「問題は、当事者が互いに対立しているように装いながら、裁判手続きの正当性を利用して目的を達成できるかどうかだ。答えは断固として『できない』である」と記した。

















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