2025年末の運用資産は約481兆4,400円に拡大

香港は、中国本土から流入した大規模な富裕層の資金を背景に、スイスを抜いて世界最大のオフショア資産管理市場となった。
財新快報や経済通は13日、日本経済新聞とボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査を引用し、2025年の香港におけるオフショア富裕層向け運用資産(AUM)が前年比11%増の2兆9,500億ドル(約478兆7,400億円)に達したと報じた。
これは、従来の世界的な資産運用拠点だったスイスをわずかに上回る規模となった。香港がこの分野でスイスを上回るのは初めてだ。
香港の資産管理市場の成長を支えているのは、中国本土からの資金である。BCGによると、現在香港で運用される資産の約59%は中国本土からの流入であり、その割合は2030年には約68%まで拡大する見通しだ。
中国では、不動産不況の長期化やデフレ圧力、低金利環境を背景に、投資先を見いだせない巨額の資金が滞留している。
一方、香港にはキャピタルゲイン課税がなく、国際金融市場へのアクセスにも優れているうえ、税制上の優遇措置も大きいことから、中国の富裕層による資産運営のニーズを大きく取り込んでいる。
さらに、米国や欧州、中東などに分散していた中国系資産も、中東情勢の不安定化やドル覇権を巡る不透明感の高まりを受け、比較的安全な投資先とみられる香港へ流入している。
BCGは、アジアでは世代間の大規模な資産承継期に入っており、企業創業者や富裕層の一族が資産を次世代へ移す過程で、オフショア資産管理への需要も急速に拡大していると分析した。中国の富裕層による資産配分の拡大が、香港の資産管理市場の成長を後押ししているという。
こうした動きを受け、世界の金融機関も香港事業の拡大を加速させている。スイスのUBSは、香港・西九龍(ウエストカオルーン)地区で進む総事業費約1兆円規模の複合開発プロジェクトで、中核ビル1棟を丸ごと賃借し、アジア事業の拠点として活用する方針を明らかにした。
また、フランス系プライベート・エクイティ運用会社のアルディアン(Ardian)は香港市場に新規参入し、米高頻度取引(HFT)大手のジェーン・ストリート(Jane Street)は、現地組織を大幅に拡充した。
米プライベート・エクイティ運用会社アダムズ・ストリート・パートナーズも、昨年11月に香港事務所を開設し、本格的に事業を開始した。
アダムズ・ストリート・パートナーズの最高投資責任者(CIO)であるジェフリー・ディール氏は、香港は世界の資本市場と密接につながっていることから、現地拠点を通じて富裕層の顧客や投資家により近い存在になれるとの期待を示した。
超富裕層の資産を専門に管理するファミリーオフィスも急増している。デロイト中国によると、2025年末時点の香港のファミリーオフィス数は3,384件となり、2年前に比べ25%増加した。
これらの機関は、企業経営者や超富裕層の投資、税務、資産承継、資産配分などを専門的に支援している。
香港は、海外資本が中国本土へ投資する玄関口としての役割も担っている。香港証券取引所の時価総額の約80%を中国本土の企業が占めており、海外投資家の多くは中国の資本規制を受けるため、香港経由で中国株に投資している。
最近では、中国企業が人工知能(AI)やロボット分野で急成長していることも、香港市場への投資魅力を高める要因となっている。
米財務省の統計によると、今年4月末時点で米国の投資家による中国本土および香港の証券投資残高は4,991億ドル(約81兆100億円)となり、2020年の香港国家安全維持法が施行された以降で最高水準を記録した。
また、在香港米国商工会議所が2026年に実施した会員企業調査では、回答企業の74%が国家安全維持法は自社の事業運営に悪影響を及ぼしていないと回答した。また、香港の法の支配が損なわれたと評価した割合も、2022年の48%から6%へ大きく低下した。
しかし、このような結果は、同法が香港の政治環境に影響を与えていないことを意味するものではないものの、金融や投資、企業活動を重視する外資系企業は、依然として香港市場の機能や制度上の優位性を高く評価しているとの見方が出ている。
市場ではこれまで、上海金融市場の開放が進めば香港の役割は縮小するとの「香港不要論」が指摘されてきた。
しかし、中国政府は大規模な資本流出を警戒し、金融開放を慎重に進めている。この政策が、結果として香港の独自の仲介機能を維持する要因になっているとみられる。
















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