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【激戦再燃】タイ・カンボジア国境で中華砲が炸裂、民間人死亡…歴史と憎しみが生んだ「100年越しの戦火」

荒巻俊 アクセス  

タイとカンボジアの国境紛争は、1904年にフランスとシャム(現在のタイ)の間で結ばれた国境条約にまで遡る。フランスが支配していたインドシナ地域(現ベトナム・カンボジア・ラオス)と、独立国家タイとの間で境界線が曖昧なまま残されたことで、カンボジア独立後に領土問題が一気に噴き出した。中でも「プレアビヘア寺院」を巡る争いは象徴的であり、1962年に国際司法裁判所(ICJ)がカンボジアの領有権を認めたにもかかわらず、周辺地域を巡る対立は根強く続いてきた。

こうした歴史的背景を抱える両国の間で、2025年に入って再び緊張が激化した。特に7月24日には、タイ東部スリン県とカンボジア北西部ウダルミエンチェイ県の国境地帯で激しい軍事衝突が発生。両軍は中華砲などの重火器を使用し、国境周辺は一時まさに「戦場」と化した。双方の主張は平行線をたどり、タイ側は「カンボジア軍がロケット砲で攻撃してきた」とし、カンボジア側は「タイ軍が領内に侵入したため防衛措置を取った」と反論。情報戦も激化する中、SNSを通じてカンボジアのフン・セン上院議長が「カンボジア領内2か所が砲撃された」と発信し、国民感情をさらに煽った。

この攻撃により、タイでは少なくとも民間人9名を含む12名が死亡、さらに14名が負傷したと報告されている。犠牲者にはわずか8歳の少年も含まれており、地域住民の間には深い衝撃と怒りが広がっている。事態は単なる国境争いにとどまらず、政治的な民族主義感情とも結びつき、双方の世論を過熱させている。互いに「相手が先に撃った」と主張し、責任を押し付け合う構図が繰り返されており、対話による解決の糸口は依然として見えない。

特にプレアビヘア寺院とその周辺は、カンボジア側にとって国の誇りであり、象徴的な存在だ。領土問題を超えて、歴史や文化、民族のアイデンティティが交錯するこの地域では、いずれの国も容易に一歩を引くことができない。実際、2008年から2011年にも複数回の武力衝突が起きており、今回の激突もまた繰り返される悲劇の延長線上にある。

近隣国であるラオスや東南アジア諸国連合(ASEAN)は、過去にも外交的調停を試みてきたが、2025年5月に三国が接する「エメラルドトライアングル」付近で小規模な衝突が起きるなど、地域全体の安定は脆弱なままだ。国際法や外交交渉を通じた解決の努力は続いているが、長年にわたる歴史的対立とナショナリズム、そして安全保障上の懸念が複雑に絡み合い、問題は容易に解決されそうにない。民間人の犠牲者が出ている今、国際社会による本格的な関与と平和的な対話の枠組みが強く求められている。

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