
AIを活用した自動車詐欺が米国で現実のものとなっている。AI加工された車両写真、偽のディーラーウェブサイト、ディープフェイクを使ったビデオ通話まで登場しており、オンラインで自動車を購入する際は十分な注意が求められる。
最近、米国のオンライン自動車オークションプラットフォームBring a Trailerで、AIで操作されたと疑われるキャデラックの車両写真が出品され、論争を呼んだ。一見すると正常な出品物に見えたが、一部の写真で非現実的な背景や部品描写の不自然さが指摘され、AI画像操作の疑いが浮上した。
問題は、こうした手口が写真の加工にとどまらない点にある。米国では実際のディーラーウェブサイトを丸ごと複製したり、実在しない偽のディーラーウェブサイトを作成して手付金や車両代金を要求する事例も増えている。専門家は、自動車をオンラインで購入する前に確認すべき5つのポイントを挙げている。
1. 車両写真を拡大して確認する
AI生成画像には依然として細部の描写に不自然さが残ることが多い。ホイール・エンブレム・ナンバープレート・室内のボタン・エンジンルームの部品などが不自然だったり、左右のバランスがおかしい場合は疑ってかかりたい。
車両外観の写真ばかりで、エンジンルーム・下部・室内の詳細写真が不足している場合は、追加写真を要求するとよい。逆画像検索で写真が他サイトから流用されたものでないか確認する方法も有効だ。

2. 売り手の説明が出来すぎていないか確認する
AIが生成した販売文は一見自然に見えることがあるが、実際の使用感や具体的な情報が欠けていることが多い。「状態最高」「見逃せない機会」といった抽象的な表現が繰り返され、整備履歴・事故履歴・売却理由などの情報が欠けている場合は要注意だ。
ただし、AI文章を使っているからといって必ずしも詐欺とは限らない。重要なのは、追加写真や整備履歴といった具体的な質問に売り手が適切に回答できるかどうかだ。
3. ビデオ通話も過信しない
直接確認が難しい場合はビデオ通話を求め、リアルタイムで車両の状態を確認するのが望ましい。運転席・メーター・エンジンルーム・車台番号などをその場で見せるよう求めれば、偽の出品を見抜く手がかりになる。
ただし、ディープフェイク技術も進化しており、ビデオ通話だけに頼るのは危険だ。映像の動きが不自然だったり、口の動きと音声がずれている場合は疑ってかかりたい。ビデオ通話はあくまで補助手段であり、実車確認に代わるものではない。
4. 偽のディーラーウェブサイトを見分ける
米国では実際のディーラーの商号・ロゴ・車両写真・連絡先を模倣した偽のウェブサイトが登場している。売り手から送られてきたリンクだけを信用せず、Googleでディーラー名を直接検索して公式サイトのアドレスと照合する必要がある。

電話番号も必ず確認したい。売り手から提示された番号ではなく、Googleマップや公式の検索結果に表示された番号から直接問い合わせ、実在する物件かどうかを確認するのが安全だ。
5. 前払い要求と不自然に安い価格に警戒する
AIを使った詐欺であっても、目的は結局のところ先払いで金銭を騙し取ることに尽きる。相場を大幅に下回る価格の車両、実車確認前の手付金要求、「今日中に送金しなければならない」といった急かしはすべて警戒すべきサインだ。
特に、電信送金・ACH決済(米国の銀行口座間電子送金)・小切手・暗号通貨のようにキャンセルや追跡が困難な支払い方法のみを求められる場合は、取引には応じないほうがよい。正規のディーラーであれば実車確認の機会、公式の売買契約書、安全な決済手段を用意している。
オンラインでの自動車購入は手軽な反面、AI時代には詐欺の手口もそれだけ巧妙になっている。写真・動画・ウェブサイトがいかにもっともらしく見えても、実車と売り手の素性を確認するまでは油断禁物だ。最も重要な原則は変わらない。車両を直接確認する前には代金を支払わないことだ。













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