
タイヤの空気圧を基準より少し高めに設定しているドライバーは、意外に多い。「タイヤの空気圧を高くすると燃費がよくなる」という一般的な認識が理由だ。しかし、実際には得られるものより、失うもののほうがはるかに大きい可能性がある。燃費面のメリットはわずかな一方、タイヤには目に見える損失が蓄積するためだ。
高い空気圧、メリットは1%で損失は5%
数値で見ると、その差は明確だ。空気圧を30kPa高くした場合、燃費の改善効果は約1%にすぎない。一方、同じ条件ではタイヤの摩耗が約5%悪化する。節約できる燃料より、失われるタイヤの寿命のほうがはるかに大きい。
悪影響は摩耗だけではない。空気圧が高いと、接地面の中央部分だけが早く減る偏摩耗が起こりやすくなる。路面上の障害物を踏み越える際にタイヤへかかる負担も大きくなり、走行中の振動も強まる。さらに、接地力が低下し、操縦安定性まで悪化する。
だからといって空気圧を下げるとさらに危険になる
反対に、空気圧が適正値より低い場合にも別の問題が生じる。まず、転がり抵抗が大きくなって燃費が悪化し、ハンドルの操作感も鈍くなる。特に、ぬれた路面ではタイヤが水の上に浮くハイドロプレーニング現象が起こりやすくなり、安全に直結する。結局、空気圧は高すぎても低すぎてもデメリットがある。
正解は「推奨値の維持」と定期的な点検にある
管理方法は単純だ。自動車メーカーが指定した適正空気圧を基準にすればよい。推奨値は通常、運転席側ドアの内側や給油口のふたの内側に表示されている。
タイヤの空気圧は時間の経過とともに自然に少しずつ低下する。そのため、推奨値から0~20kPaの範囲内で管理し、こまめに点検することが望ましい。一度だけ高めに空気を入れて放置するのではなく、定期的に確認して適正範囲を維持する習慣が重要だ。
タイヤの空気圧は「高いほどよい」ものでも、「少しくらい低くても問題ない」ものでもない。メーカーの推奨値を基準に、高すぎず低すぎない状態を保つことが、燃費、タイヤの寿命、安全のすべてを守る方法となる。月に1回程度、空気圧を確認する小さな習慣だけでも十分だ。















コメント0