英特殊部隊、シリアでIS「自爆トラック設計者」を極秘作戦で排除

ラミー外相の訪問直前に実行

引用:米軍
引用:米軍

英国の特殊部隊が、過激派組織「イスラム国(IS)」のシリアにおける爆発物専門家を秘密裏に排除する作戦を実行したと、英『デイリー・メール』および『イブニング・スタンダード』が13日(現地時間)、安全保障関係者の話として報じた。今回の作戦はデイビッド・ラミー英外相のシリア訪問を控えて行われた。

排除されたのは「アブ・ハサン・アルジャズラウィ」という男で、過去に自爆トラックを設計し西側連合軍を攻撃したISの主要爆発物製造責任者とされる。彼は先月10日、シリア北西部でオートバイに乗って移動中、英軍のMQ-9リーパー無人機に搭載されたヘルファイア・ミサイルの攻撃を受け死亡した。

この作戦の約3週間後にあたる今月5日、ラミー外相はシリアを訪問し、14年ぶりに同国を訪れた英国閣僚となった。ラミー外相は現地で9,450万ポンド(約1,650億円)規模の対外支援パッケージを発表し、アフマド・アッ=シャラア大統領率いる新政権への支持を公式に表明した。

アルジャズラウィがラミー外相に直接的なテロ計画を持っていた証拠はないものの、3月にダマスカスのシーア派聖地「サイイダ・ザイナブ廟」で発生したテロ未遂事件の首謀者とされ、追加攻撃を計画していたとみられている。

英情報当局者は「彼が排除されたことで、シリアはより安全な場所になった」とし、「外相に対する攻撃は、すなわち英国全体に対する攻撃を意味する」と述べた。

一方、英首相官邸は今回の作戦がリシ・スナク首相の直接指示によるものとの見方を否定し、「IS掃討作戦『シェイダー』の一環であり、個別の標的排除作戦は現地指揮官の判断で実行される」と説明した。

引用:米国防総省
引用:米国防総省

アルジャズラウィはシリア北部アレッポ近郊の地下拠点で、英米合同特殊作戦チームによって行動が追跡されていた。彼はISシリア支部の指導者アブ・ハフス・アルハシミ・アルクライシと関係があり、テロ作戦では複数の偽名を使っていたとされる。

2017年のイラク・モスル戦では、鉄板で覆われた「マッドマックス」風自爆トラックに爆薬を搭載し、米軍・イラク軍を攻撃した設計者でもある。また、先月ダマスカスのギリシャ正教会「マル・エリアス教会」で発生した爆破事件(死者30人以上、負傷者54人)の背後にも彼が関与していたとみられる。

英軍関係者は「今回の作戦は、ラミー外相の訪問情報が事前にテロ組織に漏れていた可能性とは無関係に、戦略的な観点から同盟国の保護と潜在的テロの防止を目的に行われた」と述べた。

ラミー外相はシリアでの演説で「シリアの人々に新たな希望が生まれている」とし、「英国は新たな政府が安定し、安全で繁栄する未来を築くための支援を惜しまない」と語った。

引用:米空軍
引用:米空軍

英軍が運用するリーパー無人機は、2008年にアフガニスタン・ヘルマンド州で初めて実戦投入され、当初は米ネバダ州クリーチ空軍基地で運用されていたが、後に英国リンカンシャー州のRAFワディントン基地第13飛行隊に移管された。

作戦半径は約1,500kmに及び、車両や人員、建物などをレーザーで精密照準して爆弾やミサイルで攻撃できる。主兵装はAGM-114「ヘルファイア」ミサイルで、重量約50kgと軽量のため最大8発まで搭載可能だ。

他の誘導爆弾は重量約230kgで、作戦内容に応じて2~4発を搭載でき、ヘルファイアとの混載も可能である。攻撃範囲が広いレーザー誘導方式のGBU-12「ペイブウェイII」、天候に左右されずに精密攻撃できるGPS誘導方式のGBU-38「JDAM」、レーザーとGPSの複合誘導方式を採用するGBU-49などがある。

竹内智子
竹内智子

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