活走路なしでドローン発射か 電磁カタパルト試験の可能性

中国・上海の滬東中華造船所で確認された大型ドローンと、特異な形状の8輪トラック群をめぐり、単なる輸送車両ではなく「地上移動式の電磁カタパルト(射出装置)」として運用する構想ではないかとの見方が広がっている。米軍事専門メディア「ザ・ウォーゾーン」は、公開された衛星画像や現地写真を分析し、中国が活走路を使わずに大型ドローンを発射できる新たな仕組みを試験している可能性があると報じた。
造船所の岸壁に並んだドローンと車両は、従来の地上発射システムとは外観が大きく異なる。とりわけ複数のトラックが一体の構造物のように連結され、上面が連続した平面を形成している点が注目されている。単なる積載や運搬のためというより、射出に必要な「発射軌道」を構成することを想定した設計だと受け止められている。
トラック連結で発射軌道か 「射出前提」の構造を指摘

現地写真では、ステルス機に似た形状の戦闘型ドローン(または模型)がトラック後部に載せられ、前脚付近の結合部で固定されている様子が確認できる。こうした固定方法は、一般的な地上搬送よりも、カタパルト射出を前提とする機体側の設計に近いとされる。

車体側面には大容量の電力ケーブルや電装品とみられる部材が露出しており、車輪上部に取り付けられた円筒状の構造物については、射出時に機体を安定させるための自動水平維持機構である可能性が取り沙汰されている。「ザ・ウォーゾーン」は、単なる輸送トラックとしては構成が複雑すぎるとして、輸送と射出を兼ねる多目的システムの可能性を指摘した。
ロイヤル・ウィングマン運用とも接続 大型機の射出構想が焦点

今回のドローンは、2021年の珠海航空ショーで展示されたFH-97の模型に外形が似ているとも伝えられている。FH-97は米国のXQ-58Aヴァルキリーに通じる設計思想の影響を受けたとの評価もあり、いわゆる「ロイヤル・ウィングマン(有人機を補完する随伴無人機)」の運用構想と結びつく。
さらに、中国の民間防衛関連企業「ティエンタオ・テクノロジー」は、複数の車輪付きユニットを連結して射出軌道を作る「組み立て式の地上電磁カタパルト」構想に言及してきた。公開された概念図は10輪構成だった一方、造船所で確認された車両は8輪であり、初期型の試作である可能性や、別企業が類似コンセプトを並行開発している可能性も考えられる。

同社は最大2トン級の無人機射出を想定しているとされるが、連結ユニットを増やして軌道長を延ばせば、より大型の機体への拡張余地も残る。電磁式の射出は加速制御を精密に行えるため、機体ごとの最適条件を設定しやすく、無人機運用と相性が良いとの見方がある。
造船所で確認された意味 海上運用の布石か

こうした車両群が造船所で確認された点も波紋を広げている。周辺には中国海軍の新型076型強襲揚陸艦「四川」が関連する動きも伝えられており、同艦は電磁式射出装置の搭載が指摘されてきた。地上型の射出システムを将来的に海上プラットフォームへ展開する可能性まで視野に入れているのではないか、という分析も出ている。
もっとも、複数トラックを連結した構造が波浪環境で安定して機能するかどうかは不透明で、現時点では写真や外観情報からの推測の域を出ない。
地上移動式の電磁カタパルトが実用化されれば、活走路が限られる島しょ部や高地、前線に近い遠征環境でも大型ドローンを運用できる選択肢が広がる。発射地点を分散できれば生残性の向上につながり、前線近傍から投入できれば滞空時間や任務継続能力の面でも有利になる。
焦点は、この車両群が実際に射出装置として機能するのか、そして試験段階がどこまで進んでいるかだ。中国は新たな軍事能力を公式発表より先に段階的に露出させてきたとの見方もあり、今回の動きが「活走路に依存しない航空戦力」構想の一端を示す可能性がある。













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