世界1位の電池メーカーである中国CATLが、来年からナトリウムイオン電池の本格的な商業化に乗り出す。ナトリウムイオン電池は現在、電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵装置(ESS)の主流となっているリチウムイオン電池よりも製造コストが低いとされ、電池業界では「電池価格革命」が始まるとの見方も出ている。一方で、中国ではCATLがリチウム価格の高騰を受け、供給網の主導権を握るための戦略カードとして、ナトリウムイオン電池をこのタイミングで前面に押し出したとの分析もある。

中国の経済メディア財新は30日、CATLが来年から電気自動車やESS向けにナトリウムイオン電池を大規模に導入し、リチウムイオン電池への依存度を引き下げる戦略を正式に確認したと報じた。
CATLは世界シェア首位の電池メーカーで、主力製品はリチウムイオン電池だ。リチウムイオン電池は、三元系とLFP(リン酸鉄リチウム)の2系統に大別されるが、CATLは性能では三元系に劣るものの価格競争力に優れるLFP電池で世界市場の主導権を握ってきた。EVの価格引き下げ競争が激化する中、低価格のLFP電池を武器に、三元系を得意とする韓国勢を押さえ、CATLが世界首位を固めたのが現在の電池業界の構図だ。
そのCATLがナトリウムイオン電池の商用化を打ち出したことで、業界では再び電池価格が大きく動くとの観測が広がっている。ナトリウムイオン電池はリチウムをナトリウムに置き換えた電池で性能はLFP電池に及ばないものの、コスト面で優位性がある。リチウムがチリやアルゼンチン、オーストラリア、中国など限られた国に偏在しているのに対し、ナトリウムは調達が容易なためだ。業界では来年からリチウムイオン電池の量産が本格化すればLFP電池と同水準の価格帯となり、2030年頃にはLFPの半分程度まで下がる可能性があると見ている。
表面的には電池・電気自動車業界の勢力図を再び揺るがす技術革新に見えるが、財新はその本質を「ナトリウムイオン電池をてこに、リチウム価格と供給の支配力を強めるCATLの戦略」と分析する。根拠として、CATLがすでに2021年の時点でいつでも製品化可能なナトリウムイオン電池のパイロット技術を公開していた点を挙げている。当時すでにセルやパック単位での実証は完了しており、本気になれば即座に商用化できる段階だったという。

商用化を打ち出した時期も意味深だ。この半年間で世界のリチウム価格は50%以上急騰し、来年にはさらに倍増するとの見方もある。電気自動車市場の成長鈍化が続く中、リチウム価格の高騰が制御不能となれば、LFPを主力とするCATLの収益性が圧迫されかねない。そうした事態に備え、温存してきたカードがナトリウムイオン電池だったとされる。
匿名を条件に取材に応じた業界関係者は財新に対し「電池業界では原材料価格を巡るせめぎ合いが激化している」とし「CATLはナトリウムイオン電池の商業化を通じ、リチウム価格の上昇圧力を抑え込もうとしている」と指摘した。
CATLのリチウム価格コントロールの試みがどこまで通用するかは不透明だ。リチウムの採掘・精製企業や中間素材メーカーとの利害も複雑に絡むためだ。別の業界関係者は「鉱山権益まで保有するCATLは極めて強い価格交渉力を持つ」とし「ナトリウムイオン電池の導入計画を公表したのは、LFP電池の素材供給業者に対する圧力をかける信号だ」と分析している。
















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