
「ロイター通信」や「ニューヨーク・タイムズ」などによると、米国は7日(現地時間)、アイスランドと英国の間に位置する北大西洋で逃走を続けていたロシア籍のタンカー「ベラ1号」を拿捕したという。
このタンカーは先月21日、米沿岸警備隊による立ち入り検査を拒否して逃走し、沿岸警備隊は2週間以上にわたり追跡を続けていた。

航空追跡サイトによれば、米軍の特殊作戦用航空機U-28Aが複数機、英スコットランド北端のウィック・ジョン・オグローツ空港に着陸した後、アイスランド方面へ北上する航跡が確認されたという。また、潜水艦探知能力を持つ哨戒機P-8ポセイドンやKC-135空中給油機がタンカー周辺海域に向かう様子も捉えられている。
ロシアの報道機関RTが公開した写真には、第160特殊作戦航空連隊(SOAR)所属のMH-6リトルバードヘリコプターが船舶に接近する様子が写っている。第160特殊作戦航空連隊は夜間や秘匿侵入任務でデルタフォースやネイビーシールズなどを支援する精鋭部隊として知られる。
米欧州軍(EUCOM)はXで「米司法省と国土安全保障省が国防総省と連携し、制裁違反を理由にベラ1号を拿捕した」と発表した。さらに「米連邦裁判所が発付した令状に基づき、沿岸警備隊艦マンローの追跡後、北大西洋で拿捕された」と説明した。
今回の作戦には英国も参加した。英国防省は声明で「米国の要請に基づき、事前に計画された作戦を支援した。国際法を完全に順守した支援だった」としている。
一方、「ロイター通信」は米当局者の話として「拿捕時点で潜水艦を含むロシア軍艦が周辺海域に存在していた可能性はあるが、作戦地点との正確な距離は不明だ」と伝えた。また「ロシア籍タンカーの拿捕は米露間の緊張を高める恐れがある」と指摘した。「ニューヨーク・タイムズ」も「今回の事案は両国間の対立を一段と深めかねない」と分析している。
ロシア国籍タンカーが拿捕された理由
今回拿捕されたタンカーは約2週間前にイランを出航し、ベネズエラ産原油を積載する目的で同国に向かっていたとされる。途中で米沿岸警備隊の取り締まりを受けた後、船体側面にロシア国旗を描き、船名を「マリネラ」に変更したという。

米国はこのタンカーが国際制裁に違反し、ロシア、イラン、ベネズエラ産原油を不正に輸送してきた「シャドーフリート」の一隻だとして、拿捕の理由を説明している。シャドーフリートとは、ロシアが西側諸国の制裁を回避する目的で運用される非公式なタンカーネットワークを指している。
ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は記者会見で「制裁対象の原油を輸送していたベネズエラのシャドーフリートに属する船舶だ」と述べ「トランプ政権はシャドーフリートを容認しない」と強調した。さらに「乗組員は連邦法違反で起訴対象となり得る。必要であれば米国に移送し裁判にかける」との見解を示した。
ロシアは強く反発「国内法・国際法ともに守った船舶、拿捕は不法」
ロシアはアメリカの船舶拿捕に即座に反発した。
ロシア運輸省は声明で「国連規範に基づき、公海では航行の自由が認められており、いかなる国も他国籍船に対して武力を行使する権利はない」と主張した。

また、拿捕されたマリネラ号はロシア国内法および国際法に基づき、ロシア国旗を掲げて航行する暫定許可を得ていたとし米国の行為は違法だと訴えた。
ロシア外務省も「米軍がロシア籍船マリネラ号に乗り込んだとの報道を注視している」とし「乗組員の中のロシア国籍者を人道的に扱い、速やかに帰国させるよう」米国に求めた。
一方、レビット報道官は「当該船舶は虚偽の国旗を掲げた結果、無国籍船とみなされた」と反論し、ロシア籍船としては扱えないとの立場を示している。
















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