
ドナルド・トランプ米大統領は、レアアースやリチウムなどの重要鉱物に対する輸入関税の発動を当面猶予し、主要貿易国と供給の安定化に向けた交渉に乗り出すことを決めた。関税発動の可能性を背景に上昇を続けていた国際的な銀や金の価格は、この決定を受けて利益確定の売りが出ており、調整局面に入っている。
トランプ氏は14日(現地時間)、ジェイミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表およびハワード・ラトニック商務長官に対し、「重要鉱物およびその派生製品の輸入が国家安全保障を脅かすことのないよう、貿易相手国との協議を進めること」を指示する大統領令に署名した。
大統領令には、交渉過程で同盟国と連携し、重要鉱物に対する「価格下限制度(price floor)」の導入を推進できるという内容も盛り込まれた。ただし、大統領令の発令日から180日以内に交渉が妥結しない場合や、合意内容に実効性がないと判断された場合には、大統領が追加の措置を講じる余地を残している。
トランプ氏は大統領令で、「鉱物を米国内で採掘しても、加工や精製の段階で外国に依存している限り、国家安全保障は確保されない」と指摘し、供給網全体の再編が必要だとの認識を示した。
今回の措置は、昨年4月にラトニック商務長官が1962年通商拡大法232条に基づいて開始した重要鉱物に関する国家安全保障調査の結果を踏まえたものだ。
当時、米商務省は報告書を通じて「米国は重要鉱物の供給において海外供給源への依存度が過度に高く、安定した供給網へのアクセスが不足しているうえ、価格変動も激しい」と指摘した。その上で「こうした構造的脆弱性が外国勢力に悪用された場合、重大な国家安全保障上の脅威となる可能性がある」と警告していた。
実際、米国地質調査所(USGS)が指定する54種類の重要鉱物のうち、半数以上は中国が世界最大の生産国となっている。中国は米中対立が激化していた昨年以降、一部鉱物の輸出を制限しており、世界的な供給網の不安定化を招いてきた。
「ロイター通信」は、今回の措置について、「関税政策の合法性を審理している最中であることを踏まえ、米国経済への追加的な打撃を回避するための戦略的な猶予措置」との見方を示している。
■ 関税猶予の報道で金・銀価格が下落に転じる
市場では、トランプ政権が全面的な高関税の発動ではなく、交渉や選択的な調整を通じて、より「精密」な対応を選択したとの評価が広がっている。TD証券の商品戦略家、ダニエル・ガリ氏は「ブルームバーグ」に対し、「今回の決定は、広範な関税措置が実物金属市場を歪めかねないとの懸念を大きく和らげた」と分析した。
関税の発動が当面見送られたことで、これまで米国内の備蓄需要に支えられて急騰していた貴金属価格は調整局面に入った。銀価格は15日、取引中に1オンス=93.75ドル(約1万4,800円)と史上最高値を更新したものの、その後は利益確定の売りが膨らみ、一時は7%以上下落した。
銀は2025年に入ってから約150%上昇し、金の上昇率を大きく上回ってきた。金価格の水準が高止まりする中、相対的な割安感から一部の投資資金が銀に流入したことが、急騰の一因とされる。さらに、太陽光パネルなどの産業用需要と中国国内の投機的買い熱が結びつき、上昇基調が加速した。
この日は金価格も銀の動きに連動する形で軟調に推移した。
OCBC(オーバーシー・チャイニーズ・バンキング・コーポレーション)の戦略家、クリストファー・ウォン氏は、銀と金は供給不足や産業需要、地政学的な不確実性を背景に、依然として堅調だ」との見方を示した。一方で、「足元での価格上昇ペースはあまりに急であり、短期的な価格変動の拡大には注意が必要だ」と語った。














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