英・仏など西側諸国は不参加の構え

パレスチナ・ガザ地区の停戦と戦後復興を目的に、ドナルド・トランプ米大統領が提唱した「平和評議会」にロシアやベラルーシなどが参加の意向を示している。国際社会で孤立してきた権威主義的な国家が、評議会参加を通じて制裁下での立場を改善する足掛かりとする可能性があるとの懸念も出ている。これにより、各国による対ロ制裁の実効性が弱まり、国際社会への復帰を後押しする結果につながりかねないとの指摘がある。トランプ大統領は昨年9月、ガザ地区に平和評議会の監督下で暫定政府を設置する構想を明らかにしていた。米ホワイトハウスによると、これまでに約60か国を評議会に招請しており、このうち約30か国が参加の意思を示しているという。
トランプ大統領は22日、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)年次総会に出席し、平和評議会の憲章署名式を開催した。トランプ大統領は「非常に興味深い一日だ」とし「ガザ問題の解決に成功すれば他の分野にも拡大できる。歴代でも最も重要な機関の一つになるだろう」と語った。署名式にはハビエル・ミレイ・アルゼンチン大統領や、オルバン・ビクトル・ハンガリー首相らが出席した。
憲章には、加盟国の加入・脱退決定権を持つ初代議長をトランプ大統領が務めることや、加盟国の任期を3年とすることが盛り込まれている。また、創設時の加盟国に限り、10億ドル(約1,586億5,216万2,522円)を負担すれば「永久メンバー」の資格を得られるとの内容も含まれていると伝えられている。

ロシア、平和評議会で国際社会復帰を模索か
トランプ大統領は署名式前日のダボスでの記者会見で「ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領が平和評議会に参加することになった」と述べた。これに対し、プーチン大統領は同日、参加を検討するとしつつ「永久メンバー」の要件として示された10億ドルについて、米国が凍結しているロシア資産から支払うことが可能だとの考えを示した。
欧州や米国で凍結されているロシア資産は、約3,000億ドル(約47兆5,960億289万4,990円)規模に上るとされる。欧州を中心とする西側諸国は、この凍結資産を将来的にロシアに戦争賠償を求める際の担保として活用できるとの立場を取ってきた。こうした中で、プーチン大統領が全く異なる用途を提案したことについて、ウクライナ停戦を巡る協議の枠組みを揺さぶる狙いがあるのではないかとの見方も出ている。
ロシアの同盟国であるベラルーシも平和評議会への参加意向を表明した。アレクサンドル・ルカシェンコ・ベラルーシ大統領は独裁的統治や人権抑圧、ロシアによるウクライナ侵攻への支援などを理由に国際社会での立場が大きく低下している。ロイター通信は「米国と長年にわたり緊張関係にあった国々が提案を受け入れている」と分析した。
オルバン首相やミレイ大統領がトランプ大統領との個人的な親交を強調してきたハンガリーやアルゼンチンのほか、最近トランプ大統領の仲介で停戦合意に至ったアルメニアとアゼルバイジャン、トランプ大統領をノーベル平和賞候補に推薦したパキスタンなども平和評議会への参加意向を示している。さらに、コソボ、ベトナム、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、カザフスタン、ウズベキスタンなども参加を公式に表明した。
一方、フランス、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンといった西側自由主義陣営の国々は参加しない見通しとされている。韓国も平和評議会への招請を受けており、大統領府は同日「評議会が平和と安定にどのように寄与するか、また韓国の役割などを総合的に考慮し、検討している」と説明した。
「権威主義国家を利する恐れ」
トランプ大統領の平和評議会構想については、権威主義的な国家に国際社会での余地を与えかねないとの批判も出ている。トランプ大統領はロシアをけん制する必要性や、ウクライナ侵攻後もロシア産原油を輸入する国々への批判を繰り返してきた。一方で、ロシアやその同盟国を平和評議会に迎え入れる動きは、こうした対ロシア圧力路線と整合しないとの指摘もある。
西側諸国はロシアとベラルーシの参加に不快感を隠していない。欧州連合(EU)および北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるスロベニアは、トランプ大統領の招請を正式に拒否し、この構想が国連憲章に基づく国際秩序を損なう恐れがあると指摘した。キア・スターマー英首相もプーチン大統領の参加を理由に不参加の方針を固めたとフィナンシャル・タイムズ(FT)が伝えている。
トランプ大統領は22日、こうした批判を意識したのか「大半は非常に人気のある指導者で一部はそうでない人もいる」とし「参加した全員が気に入っている」と冗談交じりに語った。
平和評議会が国連の役割を代替するのではないかとの懸念も浮上している。平和評議会はガザ地区にとどまらず、今後は他の紛争地域にも活動範囲を広げる構想を憲章草案に盛り込んだとされる。これにより、国連の代表性が弱まり、多国間主義に基づく国際秩序が損なわれる可能性があるとの見方がある。これに対しトランプ大統領は「国連に取って代わるつもりか」との質問に対し「その可能性もある」と含みを持たせつつも「国連は大きな潜在力を持っており、引き続き役割を果たすべきだ」と述べ、一定の距離を保った。













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