
米国のドナルド・トランプ大統領は「解放の日(Liberation Day)」と呼ばれる日に、ほとんどの経済学者が愚かだと見なした相互関税の表を掲げた。そして1974年の国際緊急経済権限法(IEEPA)を盾に、世界の国々に相互関税を課した。
大統領がIEEPAを発動するには、国家安全保障に対する「異常で特別な」外国の脅威が必要だ。しかし、米国の貿易赤字は果たして安全保障の脅威なのか。全くそうではない。米国は過去50年間、毎年貿易赤字を記録しており、これは日常的な現象に過ぎず、安全保障の脅威であったことはない。
トランプ大統領は貿易赤字が「悪いこと」だと主張するが、資金調達が円滑であれば赤字はむしろ肯定的だ。生産するよりも多く消費し、豊かな生活が享受できるからだ。したがって、米連邦最高裁がトランプ大統領の相互関税を無効にしたのは当然の帰結だ。米最高裁の決定は、トランプ大統領の主張のように「反愛国的」なものではなく、貿易赤字が国家非常事態ではないことを確認した極めて常識的な判決だった。
米最高裁の判決のインクが乾く前の2月20日、トランプ大統領は再び10%の新関税を宣言し、翌日にはこれを15%に引き上げた。トランプ大統領は外国人が米国人を食い物にして赤字が発生すると主張するが、これは根拠のない噂だ。
経済学の基本公式である「国内総生産(GDP)=C(消費)+I(投資)+G(政府支出)+X(純輸出)」によれば、総支出(C+I+G)がGDPを超えると貿易赤字が発生する。実際、2025年の米国の総支出は31兆7,000億ドル(約4,900兆円)で、GDPは30兆7,790億ドル(約4,800兆円)だった。その差額9,210億ドル(約140兆円)が、正確に昨年の貿易赤字額と一致する。つまり、貿易赤字は外国人の略奪によるものではなく、米国人が生産よりも多く使ったために発生した内部的な問題だ。
関税が赤字を解消し、雇用を生むというトランプ大統領の豪語も虚偽であることが明らかになった。関税は支出とGDPの間のギャップを縮小することはできず、単に輸入国を置き換える「数量再配置」効果しかもたらさない。
雇用の成績表はさらに悲惨だ。トランプ大統領が自慢した製造業の雇用は現れなかったばかりか、米国の製造業の雇用は昨年10万8,000件減少した。それだけではない。昨年の全体の雇用増加も18万1,000件にとどまった。2024年の220万件と比較すると急減だ。「宣伝の達人(Spinmeister-in-Chief)」が何を言おうとも、雇用の観点から関税は失敗作だ。経済ブームも訪れなかった。2025年のGDP成長率は2.2%で、2024年の2.3%よりわずかに低い。
結局、トランプ大統領の関税は米国人に追加の「販売税」を課し、国際市場に混乱を引き起こし、同盟国を敵国に変えただけだ。「盲人が盲人を導く」よりも悪いことが一つある。それは、錯覚に陥った人が彼らを導くときだ。
















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