メインメニューへスキップ(上段) メインコンテンツへスキップ メインメニューへスキップ(下段)

「欧州は自由貿易をやめたのか」──EUが“欧州製優先”補助金法案、EV・鉄鋼など戦略産業を囲い込み

梶原圭介 アクセス  

引用:depositphotos
引用:depositphotos

欧州連合(EU)は4日(現地時間)、事実上、欧州製品にのみ補助金を支給する内容を盛り込んだ「産業加速法案」(IAA)を公表した。

AFP通信によると、欧州委員会は公共調達や補助金支給の条件として「メイド・イン・ヨーロッパ」規定を導入し、電気自動車やバッテリー、鉄鋼などの戦略産業分野で一定割合の欧州製部品の使用を義務付ける。

これにより、現在14%程度にとどまる域内製造業の比率を2035年までに20%へ引き上げるのが目標だ。中東紛争など地政学リスクが高まる中、域外への依存を減らし、経済安全保障と主権を強化する狙いもある。

欧州委員会は、域内産業の衰退を放置した場合、今後10年間で約60万人分の雇用が失われる恐れがあるとして、危機感を示した。

協議の結果、EUは、自由貿易協定(FTA)を締結している国や、世界貿易機関(WTO)の政府調達協定加盟国など、相互主義の原則に基づいて市場を開放している国の部品については、EU産とみなすことにした。

IAAでは、自動車、鉄鋼、セメント、アルミニウム、バッテリー、太陽光、風力などを戦略産業に指定した。

電気自動車の場合、メーカーが公的資金の支援を受けるには、バッテリーを除く部品の70%をEU域内で製造しなければならない。他の環境技術分野にも、同程度の欧州製部品使用義務が課される見通しだ。

さらに、中国を念頭に置いたとみられる海外直接投資(FDI)規制も法案に盛り込まれた。特定品目で世界市場シェアが40%を超える国の企業が、1億ユーロ(約183億1,800万円)以上をEUの戦略産業に投資する場合、対象となるEU企業の出資比率は49%以下に制限される。

加えて、現地人材を50%以上雇用し、関連技術のノウハウを移転するなど、厳しい条件も満たさなければならない。

一方で、今回の措置に対しては、過度な保護主義だとする批判も強まっている。スウェーデンのウルフ・クリステション首相は、保護ではなくイノベーションによって市場を守るべきだと批判した。

輸出主導型のドイツでは経済界がコスト上昇と競争力低下を懸念しており、日本、英国、米国などEUの伝統的な友好国からも、貿易障壁を高める措置だとして懸念の声が上がっている。

欧州の産業界でも、煩雑な行政手続きとコスト増加に対する不満が出ている。より高価な欧州製部品の使用を義務付ければ製品価格が上昇し、最終的には消費者負担につながりかねないためだ。

また、複雑に入り組んだグローバル供給網の中で、「欧州製」であることを証明する書類作成は、中小企業にとって大きな負担になるとの指摘もある。

この法案は当初、「メイド・イン・ヨーロッパ」の範囲を巡り、フランスやドイツなど加盟国の間で意見が割れたため、公表が遅れていた。

フランスが厳格なEU域内生産原則を主張したのに対し、ドイツなどは貿易相手国も含める「メイド・ウィズ・ヨーロッパ」を支持していた。

最終案では、友好国やFTA締結国に対する一定の例外は認められたものの、「メイド・イン・ヨーロッパ」を軸とする方針自体は維持された。このため、今後も通商摩擦が続く可能性がある。

コメント0

300

コメント0

[ニュース] ランキング

  • これから東京でしたら大変なことに…観光客の“マナー違反”に、ついに対応へ
  • 米国が対中関税見直し着手、貿易委員会始動へ動く
  • 「景気拡大なのに現場は悲鳴」5月製造業PMI低下、供給網混乱と物価高が企業を直撃
  • イラン攻撃がクウェート波及、国際空港停止で被害拡大
  • 中国、日本・フィリピンの海洋境界協議を連日批判…中国の海洋権益を侵害と主張
  • ロシアが大規模空襲、ウクライナ全土で死傷者拡大

こんな記事も読まれています

  • 生産中止から4年…WRX STIに“復活シグナル”、試されるのはファンの熱量?
  • 「大径ホイールの罠?」見た目は最強でも、ポットホール一発で財布が割れる
  • 「一般トヨタ店では買えない」GR GT、販売は“厳選レクサス店”に集約へ?
  • GM車3,500台がリコール対象、欠けていたのは説明書1冊
  • 中国、記者追放問題で米国を改めて批判「問題の元凶は米国」
  • トランプ氏が終戦合意に自信、週末締結ならホルムズ海峡再開放
  • 氷点下30度でも「都会よりマシ」なのか…羊飼い求人に“700人”が殺到したワケ
  • 中国、強制労働理由の米追加関税に反発…政治的な操作と非難

こんな記事も読まれています

  • 生産中止から4年…WRX STIに“復活シグナル”、試されるのはファンの熱量?
  • 「大径ホイールの罠?」見た目は最強でも、ポットホール一発で財布が割れる
  • 「一般トヨタ店では買えない」GR GT、販売は“厳選レクサス店”に集約へ?
  • GM車3,500台がリコール対象、欠けていたのは説明書1冊
  • 中国、記者追放問題で米国を改めて批判「問題の元凶は米国」
  • トランプ氏が終戦合意に自信、週末締結ならホルムズ海峡再開放
  • 氷点下30度でも「都会よりマシ」なのか…羊飼い求人に“700人”が殺到したワケ
  • 中国、強制労働理由の米追加関税に反発…政治的な操作と非難

おすすめニュース

  • 1
    「こんなタコは見たことがない」ガラパゴス深海1800mで発見…ゴルフボールサイズの“青い新種ミニタコ”

    トレンド 

  • 2
    「先に行くよ」の一言で彼女を山に置き去り…命の危険まで招く“登山破局男”の心理とは

    トレンド 

  • 3
    「頭頂部を高くすれば小顔で若く見える?」…頭皮を切開し穴まで開ける“頭の美容整形”に危険性の指摘も

    ヒント 

  • 4
    GMのAI革命「夜通し計算が1分に」…自動車開発の第3段階で業界の常識を覆す

    モビリティー 

  • 5
    宿泊客の「ドライヤー放置」に衝撃、ホテル火災寸前でSNS話題に

    トレンド 

話題

  • 1
    「月1万個の廃棄品を削減」日本自動車業界が不良品基準を大幅緩和、その背景とは

    モビリティー 

  • 2
    なぜ公衆トイレの便座はU字型なのか?

    トレンド 

  • 3
    「中国も真似しないデザイン」フェラーリ初EV論争にランボルギーニCEOが参戦

    モビリティー 

  • 4
    「ここは食堂ではない」空港の授乳室でカップ麺を食べる中国人観光客…SNS拡散で迷惑利用に波紋

    トレンド 

  • 5
    子どもへの初めての車選び、IIHSとコンシューマーレポートが推奨する安全モデルとは

    モビリティー 

シェア

[cosmosfarm_share_buttons url="https://dailyview.net" title="ピッコン" align="center"]