
ゴールドマン・サックスが新たな警告を示した。米国経済の減速が進み、イラン戦争が状況をさらに悪化させていると指摘している。
ゴールドマン・サックスは12日(現地時間)、今後12カ月以内の米国の景気後退確率を25%に引き上げた。従来予想より5ポイント高い水準だ。低調な2月の雇用指標と原油価格の急騰を受け、エコノミストらは見通しの修正を迫られた。
これはウォール街でも影響力の大きい金融機関による強い警告と受け止められている。この警告は、トランプ政権が進める関税政策と中東への軍事関与という二つの政策が、すでに弱まりつつあった労働市場と衝突する局面で示された。
雇用指標がウォール街に衝撃
2月の非農業部門雇用者数は9万2,000人減少した。ゴールドマン・サックスのエコノミスト、デービッド・メリクル氏は、この結果について雇用の伸びが依然として極めて低い水準にとどまっていることを改めて示したと指摘した。
ゴールドマン・サックスの試算では、基礎的な雇用創出はほぼゼロに近い。これは労働市場への新規参入者を吸収するために必要とされる月7万人程度の損益分岐点にも届かない水準だ。求人件数も依然として減少している。
失業率は先月4.44%に上昇した。ゴールドマン・サックスは第3四半期には4.6%まで上昇すると見込んでいる。また、労働参加率が0.4ポイント下方修正されたことも、労働市場の弱さをさらに際立たせた。米国の国勢調査局(Census)の最新データで、退職した米国人が従来推計より多かったことが反映されたためだ。
新たな変数となる原油価格
イラン戦争は、すでに複雑だった経済環境に新たな不確実性を加えている。ゴールドマン・サックスの基本シナリオでは、ブレント原油は3~4月平均で1バレル98ドル(約1万5,600円)を記録した後、年末には71ドル(約1万1,300円)まで下落すると見込まれている。
しかし最悪のシナリオ、すなわちホルムズ海峡で1カ月にわたり輸送障害が発生した場合、ブレント原油は110ドル(約1万7,500円)まで上昇する可能性がある。この場合、総合インフレ率は春のピーク時に4.5%近くまで上昇するとみられる。
基本シナリオでも、ゴールドマン・サックスは12月時点の総合個人消費支出(PCE)物価上昇率の見通しを0.8ポイント引き上げ、2.9%に修正した。
関税の影響はすでに反映
ゴールドマン・サックスは、トランプ政権の関税政策がすでにコアインフレ率を70ベーシスポイント以上押し上げたと推計している。この影響を除けば、基礎的なインフレはより抑制された水準にあるとみられる。
コア消費者物価指数(CPI)は約1.75%、コアPCEは約2.25%程度と推計されており、関税政策そのものが相当のインフレ圧力を生んでいることを示している。
FRBは動きにくい状況
利下げは当面難しいとみられている。ゴールドマン・サックスは、従来2026年に想定していた2回の利下げ時期を9月と12月へ後ろ倒しした。
同社は、インフレ経路がより高くなることでFRBが早期に利下げすることはさらに難しくなると説明している。
FRBは典型的なスタグフレーション圧力に直面している。労働市場は利下げを正当化できるほど弱まりつつある一方、原油価格と関税によって押し上げられるインフレが金融引き締め姿勢を維持させる要因となっている。
それでも完全な悲観ではない
もっとも、景気後退確率25%という見通しは、ゴールドマン・サックスの基本シナリオが依然として景気拡大の継続であることも意味している。
実際、同社の内部データには慎重ながらも楽観的な要素もある。今回の景気サイクルで生産性成長率は年率平均2.2%を記録した。メリクル氏は、これは金融危機後に長く続いた低迷から米国経済が歴史的平均へ回帰した結果だと分析している。
住宅インフレも急速に鈍化している。新規賃料の上昇率は前年比でほぼ0%となり、ゴールドマン・サックスは住宅コストの上昇率が12月には3.1%から2.3%まで低下すると予想している。
さらに同社は、労働市場がさらに弱まればFRBがより早期に利下げに踏み切る可能性もあるとみている。これは過去の景気減速局面には見られなかった政策的な緩衝装置といえる。
1~3月期成長率は高水準
ゴールドマン・サックスは第1四半期のGDP成長率を3.3%と推計している。ただしこのうち1.3ポイントは、前年秋に終了した政府機関閉鎖の反動による一時的な押し上げ効果だ。
第2四半期から第4四半期にかけては、それぞれ2.0%、1.9%、1.9%へと成長が鈍化すると同社は予測している。これは、米経済が停滞寸前の水準まで減速する軌道を示している。
















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