
ドナルド・トランプ米大統領がイランと覚書(MOU)を締結して以降、政権中枢の要人による対イラン政策を巡る発言に微妙な温度差が見え始めている。
29日(現地時間)アルジャジーラやAP通信によると、JDバンス米副大統領は対話による解決と紛争拡大の回避を重視する姿勢を示した一方、マルコ・ルビオ米国務長官は圧力と抑止を軸とする方針を維持しており、対イラン戦略を巡る受け止め方が分かれているという。
こうした違いは両氏がそれぞれ海外訪問やインタビューで発信したメッセージに表れている。ただし、ホワイトハウスは内部対立ではなく役割分担による対応だと説明し、不協和音が生じているとの見方を否定した。
バンス副大統領は18日にスイスで行われた米国とイランの協議を主導し、今回の覚書について、数カ月にわたる戦争を終結させるための出発点だと評価した。バンス副大統領は「協議は順調に進んでいる」とし「最終合意に向けた非常に良い土台が築かれた」と述べた。
また、バンス副大統領は米国の対イラン交渉方針に対してイスラエルが公然と反発していることにも批判的な見方を示した。「軍事力だけですべての安全保障上の問題を解決することはできない」と述べ、イスラエルの強硬姿勢に疑問を呈した。
続けて「トランプ政権への公然たる批判は控えるべきだ」とし「トランプ大統領は現在、イスラエルにとって最も友好的な指導者だ」と強調した。
イラン問題についても、バンス副大統領は従来の強硬路線より柔軟な姿勢を示した。バンス副大統領は「米国とイランは今後、平和と繁栄に向けた協力関係を築くことができる」と述べ、イランの軍事力を排除すべきだとする考えと距離を置いた。
一方、ルビオ長官は同時期に中東訪問を行い、より強硬なメッセージを発信した。
ルビオ長官はアラブ首長国連邦、クウェート、バーレーンを訪れ、米国とイランの合意が同盟国の安全保障を損なうことはないと強調することに注力した。
ルビオ長官はバーレーンで「国際水路はいかなる国にも属さない」と述べ、ホルムズ海峡に対するイランの影響力拡大を牽制した。
また、イラン復興への資金支援についても慎重な姿勢を示した。ルビオ長官は「まだ議論する段階ではない」とした上で「いかなる合意も米国と同盟国の利益を損なうものであってはならない」と強調した。
さらに「我々は合意を望んでいるが、どんな代償を払ってでも合意を目指すわけではない」と述べ、交渉自体よりも合意内容や抑止力の確保を優先する考えを明確にした。
こうした発言を受け、米政権内の外交路線の違いに対する解釈が提起された。
バンス副大統領が戦争終結と交渉の余地を重視する一方、ルビオ長官はイランへの抑止と中東地域の秩序維持をより重視していると受け止められたためだ。
しかし、ホワイトハウスはこうした見方を否定した。ホワイトハウスのアンナ・ケリー報道官は声明で「トランプ政権は一つであり、大統領の目標はイランに核兵器を保有させないことだ」と説明した。
米国務省もルビオ長官とバンス副大統領の間に政策の違いがあるとの見方を否定した。ルビオ長官も記者団に対し「ここにいる全員が大統領を支持している」と述べ、意見の相違を否定した。
もっとも、今回の議論はトランプ政権内の対立というよりも、共和党内に存在する外交路線の違いが表面化した事例だとの分析も出ている。
バンス副大統領は海外への軍事介入縮小や交渉を重視する米国第一主義の流れを代表する人物とみられている。一方、ルビオ長官は同盟国との連携や抑止力を重視する伝統的な共和党の外交路線を象徴する存在とされる。
そのため、今回浮かび上がった温度差は対イラン政策そのものではなく、その進め方を巡る違いと受け止められている。













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