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「高すぎても捨てられぬ」F-22、1時間1,000万円超でも現役続行…“新型エンジンなし”で延命へ

梶原圭介 アクセス  

「1時間飛ばすだけで一千万円超え」
それでもF-22を使い続ける理由 
新型エンジンに換装せず延命へ

引用:アメリカ空軍
引用:アメリカ空軍

飛行1時間当たりの運用費が8万5,000ドル(約1,383万3,500円)に上る米国のステルス戦闘機F-22ラプターが、新型エンジンへの換装を見送り、既存の性能向上によって2030年代まで現役を維持する見通しとなった。米航空機エンジン大手プラット・アンド・ホイットニーは、F-22に搭載されているF119エンジンのデジタル制御ソフトウェアを改良し、さらなる推力向上を実現した。航空専門メディア、シンプル・フライングが28日(現地時間)に報じた。

今回の改良では、エンジン本体を取り外して大規模な改造を施すのではなく、ソフトウェアを通じて燃料供給や圧縮機、排気ノズルなどの作動をより精密に制御できるようにした。一方、同社は推力の具体的な向上幅を明らかにしていない。

引用:YouTube
引用:YouTube

F119は、アフターバーナーを使用せずに超音速飛行を続けられる「スーパークルーズ」機能を備える。また、排気ノズルを上下に最大20度動かすことで、機体の向きを素早く変える推力偏向機能を備えている。2基のF119エンジンは、それぞれ3万5,000ポンド級の推力を発揮する。

プラット・アンド・ホイットニーは、エンジンと機体に関する数百種類の制御項目を、全デジタル式エンジン制御装置(FADEC)で自動調整している。このため、ソフトウェアを調整するだけでも、既存のハードウェアが持つ潜在能力をさらに引き出せる。

新型エンジン見送り、ソフト改良で推力向上と整備時期の予測

引用:アメリカ国防省
引用:アメリカ国防省

同社は推力の向上とともに、エンジンの整備方式もデジタル技術を活用した方式へ移行している。実際の飛行で収集したエンジンデータと整備アルゴリズムを組み合わせて部品の状態を分析し、整備が必要になる時期を従来より正確に予測する仕組みだ。

従来は、部品の平均使用時間を基準に整備スケジュールを決めていた。実際の状態が良好でも、所定の時間が経過すれば、エンジンを分解したり、部品を交換したりする必要があった。一方、過酷な環境で使用されたエンジンは、予想より早く整備が必要になる場合もあった。

新システムでは、各エンジンがどのような速度、高度、温度条件の下で、どの程度の出力で稼働したかを確認する。そのデータを基に、必要な時期にのみ整備を行うことで、不要な作業や部品交換を減らす。

プラット・アンド・ホイットニーは、こうしたデジタル整備方式により、F119プログラム全体で約8億ドル(約1,302億円)のライフサイクルコストを削減できると見込んでいる。一部のソフトウェア改良は、追加費用をかけることなく、1年以内に導入されたという。

米空軍は昨年、プラット・アンド・ホイットニーと、F119エンジンの維持・支援を巡る15億ドル(約2,441億4,300万円)規模の契約を締結した。契約には、エンジンの整備や部品供給、技術支援に加え、段階的な性能向上と近代化作業も含まれている。

任務遂行可能率は40%台 それでも退役できないF-22

引用:ロッキード・マーティン
引用:ロッキード・マーティン

米空軍が運用費の高いF-22の改良を続けるのは、代替となる戦力がまだ存在しないためだ。F-22は2005年の実戦配備から20年以上が経過したが、ステルス性能、高い機動性、超音速巡航能力を兼ね備えた最高水準の制空戦闘機と評価されている。

問題はコストだ。F-22の飛行1時間当たりの運用費は8万5,000ドと推定される。2024会計年度の任務保持稼働率も40.19%にとどまった。これは全運用時間のうち、少なくとも1つの任務を遂行できる状態にあった時間が約40%にすぎなかったことを意味しており、機体の維持がいかに困難であるかを物語っている。

生産数の少なさも負担となっている。米国は当初、F-22を700機以上導入する案を検討していたが、冷戦の終結と予算上の制約により、生産を予定より早く打ち切った。試験機を含む総生産数は195機にとどまった。生産数が少ないため部品価格が高く、供給網も限られている。

それでも、F-22を直ちに退役させることは難しい。中国がJ-20ステルス戦闘機と長距離空対空ミサイルの戦力を急速に増強しており、高性能な制空戦闘機の重要性が再び高まっているためだ。

米空軍は、次世代戦闘機F-47でF-22を代替する計画だが、開発、試験、量産を経て、十分な戦力規模を確保するまでには時間を要する。それまでは、中国やロシアの最新鋭戦闘機に対抗する中核戦力として、運用を続けることになる。

米空軍は、新型エンジンの開発や、生産を終了した戦闘機の製造再開ではなく、既存のF119エンジンのソフトウェアと整備体制を改良する方針を選んだ。

飛行1時間当たりの運用費が8万5,000ドルに上り、任務遂行可能率も低い。それでも米空軍がF-22を退役させられないのは、現時点で他機による代替が不可能な、圧倒的な制空性能を備えているためだ。

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