
時価総額8,526億ドル(約133兆円)を誇る世界最大の銀行、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモン最高経営責任者(CEO)が、昨年1年間で7億7,000万ドル(約1,200億円)もの収益を得ていたことが明らかになった。5日(現地時間)、「ニューヨーク・タイムズ」によると、この収益は給与やボーナスに加え、配当金、株式報酬、保有株式の評価額上昇によるものだという。
「ニューヨーク・タイムズ」は、トランプ政権下で進められた積極的な金融規制緩和を背景に、米国の銀行業界が「一世代に一度あるかないか」の好況を迎えていると指摘。なかでも大手銀行は、収益性の高い企業の合併・買収(M&A)に積極的に関与し、多額の利益を上げていると分析している。
こうした好況を背景に、ダイモン氏だけでなく、ゴールドマン・サックスやキャピタル・ワンなど大手銀行のCEOも、昨年は株価の急騰によって数億ドル規模の報酬を手にした。
トランプ政権は、規制緩和にとどまらず、金融規制当局そのものを直接攻撃している。これらの規制当局は、2009年の金融危機後、銀行が過度なリスクを取り、最悪の事態に陥るのを防ぐ目的で設立された機関だ。規制緩和により、銀行は暗号資産(仮想通貨)などの高リスク資産を扱いやすくなったほか、海外での贈賄を禁じていた規定も撤廃されたという。さらに、金利低下に加え、独占禁止法を巡る監督が緩和されたことで、しばらく停滞していた収益性の高いM&A仲介ビジネスが再び活気を取り戻している。
一時は不安視されていた不動産向け融資も、在宅勤務の縮小に伴いオフィスへの出勤が増えたことで、足元では安定した状況を保っている。また、株式市場は史上最高値を更新し、債券市場も2020年以降で最も好調な一年となった。さらに、金や銀といった貴金属価格も急騰するなど、金融市場全体で活況が広がっている。
こうした一連の動きは、いずれもウォール街の利益拡大に寄与している。大手銀行の株価は昨年、株式市場全体の上昇率のほぼ2倍にあたる29%上昇した。一方、住宅ローンや個人向け預金口座といった分野に依存する小規模な貸付機関や地域銀行は、大手銀行に比べて業績が大きく見劣りしている。
ダイモン氏をはじめとする大手銀行のトップは、もはや厳格な報酬体系の下で働く従来型の銀行経営者ではない。報酬水準は、ヘッジファンドの運用責任者やシリコンバレーのスタートアップ創業者に近い水準に達している。
開示資料によると、ダイモン氏は昨年、約7億7,000万ドル(約1,200億円)の収益を得た。JPモルガン・チェースの株価は同年に34%上昇している。また、シティグループは長年にわたり数万人規模の人員削減を含む構造改革を進めた結果、昨年の株価が65%以上上昇した。ゴールドマン・サックスの株価も同期間に53%上昇している。
こうした株価上昇を背景に、シティグループのジェーン・フレーザーCEOと、ゴールドマン・サックスのデイヴィッド・M・ソロモンCEOも、昨年それぞれ1億ドル(約160億円)を超える報酬を受け取った。株価が36%上昇したキャピタル・ワンのリチャード・フェアバンクCEOは昨年、株式売却益を含め、3億ドル(約470億円)を超える収益を得た。これには、トランプ政権がキャピタル・ワンによるディスカバー・ファイナンシャル・サービシズの買収を承認した際に支払われた、3,000万ドル(約47億円)のボーナスも含まれている。
一方、数十万人にのぼる下位職級の従業員が受け取る報酬総額は、まだ年次ボーナスが支給されていないため確定していない。ただし、職務内容に応じて、前年より5~25%程度増加すると見込まれている。
銀行業界の地位と名声は、この数十年にわたって着実に低下してきた。インターネットバブル期には資金がシリコンバレーへ流出し、さらにエンロン事件などの企業不祥事を十分に防げなかったことで、業界の信頼は大きく損なわれた。その後、10年も経たないうちにサブプライムローン危機を引き起こし、銀行は世論から強い批判を浴びる存在となった。2009年の金融危機を受け、米国の政界は預金を原資とした過度に投機的な利益追求を抑制するため、さまざまな金融規制を導入した。
その結果、銀行業界の収益性は低下し、人材流出も進んだ。近年、米金融界で注目を集める「スーパースター」の多くは、こうした銀行ではなく、プライベートクレジットの貸付機関の出身者だとされている。2015年時点で約5,300行あった地域・コミュニティ銀行のうち、およそ1,000行が閉鎖された。一方、昨年新たに設立された地方銀行はわずか7行にとどまった。
しかし、トランプ政権が銀行規制を大幅に緩和したことで、銀行業への参入を目指す事業者が急速に増えている。これまで銀行免許の取得に慎重だったペイパルなども、その動きの一例だ。
















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