
バチカンが、米国によるベネズエラ空爆とニコラス・マドゥロ大統領の拘束を狙った作戦の動きを察知し、双方に「マドゥロ大統領のロシア亡命」を軸とする仲介案を提示していたものの、マドゥロ大統領が受け入れを拒んだため実現しなかったと、米紙ワシントン・ポスト(WP)が報じた。
WPは9日(現地時間)、米政府文書と関係者の証言を入手したとして、2025年12月24日(クリスマスイブ)に、バチカンで外交を統括するピエトロ・パロリン国務長官(枢機卿)が、ブライアン・バーチ駐バチカン米大使と面会し、ロシア側がマドゥロ大統領を受け入れる用意があるとして、ロシア亡命案を提案したと伝えた。
パロリン枢機卿はバーチ大使に対し、米国の対ベネズエラ作戦計画について説明を求めたとされる。麻薬密売を標的とする作戦なのか、それともベネズエラの政権交代を狙うものではないのかをただし、米国がマドゥロ大統領に「出口」を用意すべきだとの考えを示したという。亡命先としてはロシアのほか、トルコも候補に挙がったとされる。
さらにパロリン枢機卿は、マルコ・ルビオ米国務長官にも面会を求めるなど、ベネズエラ情勢の仲介に動いたが、最終的に調整はまとまらなかった。マドゥロ大統領が退陣を拒否したためだという。
バチカンは、ベネズエラ情勢の打開に向け、この十数年にわたり関与してきたとも報じられている。レオ14世教皇は米国に対し武力行使の自制を求める立場を示し、約10年前からはベネズエラ国内の政治勢力間の対話も仲介してきたとされる。南米はカトリック信者が多数を占める地域でもある。
一方、WPの報道内容について、関係各方面は否定、または肯定も否定もしない姿勢(NCND)を貫いたとされる。バチカンは、機密の対話の一部が実際とは異なる形で公表されたと主張した。バーチ大使は国務省に確認してほしいと述べ、米国務省はコメントを控えた。亡命先として名前が挙がったロシア側も、WPの問い合わせに回答しなかったという。
ノルウェー・ノーベル委員会「ノーベル賞は譲渡・共有できない」
別の動きとして、ベネズエラの野党指導者で、2025年のノーベル平和賞受賞者とされるマリア・コリナ・マチャド氏が、今回のカラカス襲撃に関連して、トランプ大統領とノーベル平和賞を分け合いたい旨を語ったことを受け、ノルウェー・ノーベル委員会が異例にも直接見解を示したと伝えられた。
報道によると、ノルウェー・ノーベル委員会は9日、ノーベル賞は一度発表されると取り消しや共有、第三者への譲渡はできず、決定は最終的かつ恒久的だとする立場を明らかにした。
これは、マチャド氏が5日に米FOXニュースのインタビューで、自身のノーベル平和賞をトランプ大統領と分け合うことが、マドゥロ大統領の排除につながったことへの国民の感謝の表れになり得ると語ったことを受けた対応だとされる。マチャド氏は来週、米国を訪問してトランプ大統領と面会する予定で、トランプ大統領側は、マチャド氏が賞を渡すなら受け取る用意があるとの姿勢だとも報じられている。
米国、ベネズエラ産原油販売に向けた準備を進行
こうした中、ベネズエラ産原油の販売代金を米国が確保することを見据えた動きも進んでいるという。報道によれば、マドゥロ大統領の拘束を狙った作戦以降、ベネズエラに対する原油の希釈剤であるナフサの供給が、約8か月ぶりに再開される見通しとなった。
先週末ごろ、米テキサス州ヒューストンをナフサ46万バレル積みで出港した船舶は、来週中にベネズエラへ到着すると伝えられている。ナフサは重質油の輸送を容易にするために用いられる化学製品で、トランプ政権は2025年5月に対ベネズエラ輸出を制限し、その結果ベネズエラはロシア産ナフサへの依存を強めていたという。
ホワイトハウスは10日、トランプ大統領が、米財務省の口座に預け入れられる予定のベネズエラ産石油の販売代金を、差し押さえや司法手続きから保護できるよう、国家非常事態を宣言する行政命令に署名したとも発表した。
行政命令は、ベネズエラ産原油の販売代金を差し押さえ、裁判所命令、留置権の行使などから保護し、資金の引き出しは米政権の承認の下で行われなければならないとする内容だとされる。ベネズエラ政府や企業、米国内外のNGO、国際機関など第三者が差し押さえや凍結を申し立てても効力が及ばないようにし、米側が想定する使途に資金を充てられる形を整えたと伝えられている。
















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