
欧州の国防費の規模が、冷戦末期の1990年を上回ったとする報告書がまとめられた。これは4年以上続くロシアによるウクライナ侵攻と追加侵攻の脅威、トランプ米大統領による国防費増額の圧力などが影響したものと分析されている。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の資料によると、2024年時点での欧州大陸の軍事費支出は6,930億ドル(約107兆4,721億円)を記録した。これは旧ソ連崩壊後の最高水準であり、冷戦末期である1990年の6,160億ドル(約95兆5,260億円)の約113%に達する。
2024年の1年間、欧州では地中海の島国であるマルタを除き、ほとんどの国で国防費を増額した。特に、戦争中のロシア・ウクライナと国境を接するポーランドは、前年比31%増の380億ドル(約5兆8,927億円)を国防費として執行した。これはポーランドの国内総生産(GDP)の4.2%に相当する。ロシアと隣接する他の欧州諸国であるスウェーデン(34%)、ノルウェー(17%)、フィンランド(16%)なども2024年の国防費を大幅に増加させた。
第二次世界大戦以降、軍事大国化を抑制してきたドイツは、2024年に885億ドル(約13兆7,246億円)を国防費として支出した。これは米国、中国、ロシアに次いで世界4位の水準である。2023年のドイツの国防費支出は世界7位(600億~700億ドル)だったが、わずか1年の間に順位を3つ上昇させたことになる。昨年末にはドイツ連邦議会予算委員会が、物流調達や戦闘車両の確保、偵察監視衛星システムなどの防衛産業インフラに500億ユーロ(約9兆1,364億円)を超える国防調達契約を一括承認した経緯もある。
国防費増額の背景には、主に二つの要因が挙げられる。
第一に、ウクライナ戦争の終戦交渉が突破口を見出せない状況が、欧州諸国の国防費増額の最大要因となっている。2014年のロシアによるクリミア半島の強制併合以降、着実に増加していた欧州の国防費は、2022年のウクライナ全面侵攻を契機に爆発的に増加した。ウクライナ戦争が終結しても、ロシアは4、5年以内に北大西洋条約機構(NATO)加盟国を脅かす準備を整える可能性があると警告する西側情報機関の報告書により、欧州の国防費増額の速度はさらに加速している。
第二に、トランプ大統領による防衛費増額の要求も欧州の軍備増強の一因となっている。トランプ氏はこれまで「安全保障のただ乗り論」を提起し、欧州に圧力をかけてきた。昨年6月のNATO首脳会議では、加盟国がGDP比3.5%を国防費に支出するとの約束を取り付けた。これは既存の目標値である2%を大幅に上回る数値である。
さらに、トランプ政権によるNATO脱退への懸念も、欧州の防衛費および防衛産業インフラへの投資増額を促している。英メディアの「テレグラフ」は「先月、トランプ米大統領が署名した米国政府が脱退する66の国際機関の中に、NATO関連組織も含まれている」と伝えた。米国のNATO脱退を懸念する欧州が、米国への安全保障依存度を下げるために膨大な税金を国防費に投じているとの見方が出ている。
欧州防衛機関(EDA)のアンドレ・デンク長官は「GDP比3.5%という新たなNATOの目標を達成するには、毎年6,300億ユーロ(約115兆730億円)以上を支出しなければならない」と述べた。EUの外務・安全保障政策上級代表のカヤ・カッラス氏も「欧州は市民の安全を守るために記録的な国防費を投じており、ここで止めることはない」との認識を示した。














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