
米国によるイラン空爆を受け、米ドルが再び世界金融市場の「安全資産」として注目を集めている。国際情勢が不安定になるほど、投資家は資金をより安全な場所へ移す傾向があり、その中心には基軸通貨であるドルが存在する。戦争は短期的にはドル高を招き、米国債への需要を高めることで、米金融市場にとって有利な環境を生み出す側面がある。
両国の対立が長期化し、米国経済の成長が鈍化した場合、ドナルド・トランプ政権が求めてきた利下げへの圧力が強まる可能性もある。いわば「トランプ政権下の戦時経済論」とも言える状況だ。
3月3日の金融業界のまとめによると、現地時間3月2日に米ICE先物取引所で取引されたドル指数(ドルインデックス)は、前日比0.77ポイント(0.79%)上昇し、98.38で取引を終えた。ドル指数は、ユーロなど主要6通貨に対するドルの価値を示す指標で、100を上回ればドル高、下回ればドル安を意味する。同指数はここ1か月ほど96~97台で推移していたが、米国のイラン空爆後に98台へ上昇した。
国際情勢が不安定になると、世界の資金はリスク資産から、ドルや米国債、金といった安全資産へ移動する傾向がある。金利の動きもドルの価値を支える要因だ。トランプ政権が戦費調達のために大規模な国債発行を示唆した後、米2年債と10年債の利回りは、それぞれ0.1%ポイント以上上昇した。国債利回りが上昇すると、より高い収益を求めて世界の資金が米国へ流入し、結果としてドル需要が高まりドル高圧力が生まれる。
原油価格の上昇もドル需要を刺激する要因だ。世界の海上原油輸送量の約4分の1が通過するホルムズ海峡の緊張が高まれば、原油価格は急騰する可能性がある。原油決済の多くはドル建てで行われるため、価格上昇は世界のドル需要増加に直結する。
強いドルは米政府にとって戦略的な利点ももたらす。海外資金の流入により戦費調達が比較的容易になるほか、ドル高は輸入物価を抑えるため、原油高によるインフレ圧力を一定程度相殺する効果がある。さらに、軍事衝突の継続はミサイルやドローンといった兵器消費を促し、米国の防衛産業の稼働率を押し上げる可能性も指摘されている。
ただし、対立が長期化し全面戦争へ発展した場合、最大の焦点は金利となる。不透明感が長引けば企業投資や消費が冷え込み、金融市場の変動性も拡大する。米国で景気後退懸念が現実化すれば、政策の重点はインフレ抑制から景気支援へと移る。米連邦準備制度理事会(FRB)も、景気支援を優先するよう圧力を受ける可能性がある。実際、1990年のイラクによるクウェート侵攻で原油価格が急騰した際、FRBはわずか2か月で利下げに踏み切った先例がある。
グローバル市場は現在、中東発の地政学的リスクが実体経済に及ぼす波及効果を注視しており、ドル独歩高がいつまで続くかに注目が集まっている。













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