
NVIDIAは15日(日本時間16日)、量子コンピューティングの実用化を加速させるためのオープンソース型量子AIモデル群「Ising(イジング)」を発表した。今回の発表は、不安定な量子システムをAIで制御し、商用レベルの演算能力の実現を目指す狙いがある。
NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は同製品について、「AIは量子コンピューティングの実用化に不可欠な要素だ」と述べ、「Isingにより、AIは量子システムのOS(基本ソフト)として機能し、不安定な量子ビットを拡張性と信頼性を備えた量子GPUシステムへと転換する」と強調した。
量子演算の基本単位である量子ビットは、0と1の状態を同時に持つ「重ね合わせ」の性質を持つ一方で、外部環境に非常に敏感でエラーが生じやすいという課題がある。Isingはこうした量子ビットの状態をリアルタイムで監視し、補正やエラー訂正を行うことで、ビット数が増加しても大規模な演算を安定して実行できるよう支援する。名称は、物理系を数理的に単純化した「イジングモデル」に由来している。
Isingは主に「量子プロセッサの補正」と「量子誤り訂正」という2つの重要課題の解決に焦点を当てている。補正モデルは測定データの解釈を自動化し、従来は数日を要していた処理を数時間に短縮する。エラー訂正モデルについても、既存の標準モデルと比べて2.5倍の速度と3倍の精度を実現したとNVIDIAは説明している。
これらのモデルは、すでに世界の主要な研究機関や企業で採用が始まっている。補正モデルはIonQやAtom Computing、ハーバード大学などで活用されており、量子誤り訂正モデルはシカゴ大学やコーネル大学などの研究現場に導入されている。
フアン氏は2024年初頭のCESにおいて、実用的な量子コンピュータの実現には20年を要するとの見方を示し、一時、量子関連企業の株価に影響を与えた経緯がある。その後、同氏は「量子企業が上場しているとは知らなかった」と釈明した上で、「技術成熟の観点では20年は決して長くはない」と説明していた。今回のIsingの発表は、NVIDIAが量子コンピューティング分野へ本格的に参入し、市場での主導権を握る動きとして注目される。













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