
2歳の女児が、照明用リモコンに使用されていたボタン型電池(コイン型電池)を誤飲し、数時間後に体内組織の損傷による大量出血で死亡する事故が発生した。母親は「娘が泣きながら口元を押さえていた際、扁桃炎の再発だと思い込んでしまった。この判断が一生の後悔だ」と語り、同様の悲劇を繰り返さないよう注意を呼びかけている。
10日、英国メディアの報道によると、スタッフォードシャー州ストーク=オン=トレントに住む2歳の女児、ハーパー・リー・ファンソープちゃんが、ある日突然、泣きながら口を押さえ、不快感を訴え続けた。母親のステイシー・ニックリンさんは、娘が以前から繰り返し扁桃炎を患っていたことから、今回も症状の再発だと判断した。過去に敗血症性扁桃炎を経験していたこともあり、当時は深刻な異変とは感じなかったという。
しかし数時間後、女児は突然激しく咳き込み、鮮血を吐き始めた。直ちに病院へ搬送され、ロイヤル・ストーク大学病院で内視鏡検査を受けた結果、食道にLED照明のリモコン用ボタン型電池が詰まっていることが判明した。医療スタッフはバーミンガム小児病院への緊急搬送を検討したが、搬送中の生存可能性は極めて低い状態であり、ハーパー・リーちゃんは間もなく息を引き取った。
医療スタッフの説明によると、ボタン型電池が体内で体液と反応して強いアルカリ性物質を発生させたことで、食道や隣接する血管が焼損し、大量出血を引き起こしたという。この化学反応は、電池から物質が漏れ出さずとも、体液に触れた瞬間に電気回路が形成されることで発生する。その結果、内部血管の損傷による急激な出血が死因となった。
事故後、ステイシーさんはボタン型電池の危険性を訴える啓発活動に取り組んでいる。「娘の泣き声を単なる扁桃炎だと思ってしまった瞬間が、人生最大の後悔だ。同じ悲劇が起きないよう、細心の注意を払ってほしい」と訴えた。
ボタン型電池が小児の食道に詰まった場合、数時間以内に粘膜の壊死や穿孔が発生する可能性があり、即時の救急対応が不可欠だ。唾液や粘液と接触した瞬間に電気回路が形成され、生成された強アルカリ性物質が食道粘膜を急速に腐食させ、化学火傷を引き起こすためだ。研究では、電池が食道に留まってから15分以内に粘膜損傷が始まり、2時間以内には重度の組織壊死や穿孔へ進行する恐れがある。
食道は心臓や大動脈、気管と隣接しているため、損傷が進行すると致命的な合併症を招く。食道壁に穴が開くと、気管との間に瘻孔(ろうこう)が形成され、誤嚥性肺炎や呼吸不全を引き起こすほか、大動脈に損傷が及べば、大量出血により短時間で死亡に至る。
子供がボタン型電池を誤飲した際の兆候としては、鮮紅色の吐血、過度の唾液分泌、咳、嘔気、腹痛、無気力、食欲低下、首や腹部を押さえる行動などが挙げられる。損傷が進むと、突然の呼吸困難や胸痛、ショック症状を伴うこともある。
医学界では、ボタン型電池の誤飲を小児救急における最重篤リスクに分類している。特に直径20mm以上のリチウム電池は電圧が高く、化学反応が速く強力に進むため、重篤な合併症の危険性が著しく高い。誤飲が疑われる場合は、直ちに救急外来を受診し、医療スタッフにその可能性を伝えることが重要だ。飲食をさせたり無理に吐かせたりする行為は、粘膜の損傷や穿孔のリスクを高めるため厳禁とされる。













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