
太陽光で月面の土壌を高温に加熱し、酸素を抽出する技術が開発された。この技術が実用化されれば、高額な輸送費をかけて地球から月面基地へ酸素を運ぶ必要がなくなる。月で酸素を現地調達(ISRU)することで、月面基地の建設を加速させ、維持コストを劇的に下げる方策として期待が高まっている。
現地時間3月2日、米科学界の発表によると、NASA(米航空宇宙局)の研究チームは「レゴリス」と呼ばれる粉末状の月面土壌から酸素を抽出する技術を開発した。
レゴリスは質量の約半分が酸素で構成されている。しかし、その大部分は主成分である「ケイ酸塩」という鉱物と化学的に強く結合しており、容易に分離することはできない。そのため、将来の月面基地で活動する宇宙飛行士の呼吸用などとして供給することは極めて困難とされてきた。
研究チームは、地球上の実験室でこの課題の解決策を見出した。特殊な集光器で集めた太陽光から熱を生み出し、レゴリスを約1,800度まで加熱したところ、ケイ酸塩から酸素が分離する現象が確認された。今回の実験は、月で採取された実際のレゴリスではなく、同様の成分を持つ模擬物質で行われたが、実際の月面環境でも同様の反応が起こると推測されている。
今回の技術は、月面基地の建設と運営において大きな転換点になると期待される。現在、1キログラムの物体を地球から月面まで輸送するには、約10万ドル(約1,500万円)相当の莫大な費用を要する。大量の酸素を地球から送り続けることはコスト面で大きな負担となるが、月面に広がるレゴリスから現地調達が可能になれば、この輸送費を大幅に削減できる。
さらに、この技術によって酸素だけでなく一酸化炭素も抽出できる点が注目されている。一酸化炭素は、メタンなどのロケット燃料を生成するための基礎物質だ。酸素に加え、ロケット燃料までも月で調達できれば、運営コストはさらに低下する。
NASAは2028年に「アルテミスIV(Artemis IV)」を打ち上げ、宇宙飛行士を月面に着陸させる計画だ。これを足掛かりに、2030年代には月面基地を運営しながら鉱物資源を採掘する方針を掲げている。NASAは公式資料の中で「この技術を月面で運用すれば、人類の長期滞在にかかるコストを削減できるだけでなく、将来的な火星探査にも応用可能だ」と説明している。













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