
イタリアで腹部のたるみを取る手術を受けた50代女性が、7か月以上にわたって原因不明の痛みに悩まされていた。執刀医は、手術後に出る症状だとして抗生物質を処方するだけだった。原因は、女性の腹の中に置き忘れた手術用のはさみだった。女性は執刀医に対し、法的措置を取ることにしている。
米メディアのピープルが現地の報道を引用して伝えたところによると、53歳のこの女性は昨年10月25日、ナポリにある個人経営の病院で腹部のたるみを取る手術を受けたという。これは、たるんだ腹部の脂肪を切除しておなか周りの体型を整える手術だ。女性は退院直後から痛みや不快感を訴え、意識を失うこともあったという。
女性は救急電話で助けを求めたところ、病院での診察を勧められた。その後、手術をした医師と連絡が取れたものの、医師は手術後に現れる症状の可能性が高いと判断したとされる。検査の結果、感染症の症状が確認されたため抗生物質が処方されたが、痛みはなかなか引かなかった。
その後も症状は悪化し続け、女性は今年5月7日に別の医療機関で検査を受けたところ、腹部に手術用のはさみが残されていることが確認された。
現地メディアによると、検査の結果を確認した医療スタッフは、患者を緊急手術が可能な病院に直ちに搬送せず、最初に手術を担当した医師に連絡を取ったという。その後、担当した医師は女性に直接連絡し、自分が勤める個人経営の病院ではさみを取り除く手術を改めて受けるよう提案したとされる。しかし、女性はこれを拒否した。
現在、女性は弁護士を立てて法的措置に踏み切っており、近く別の病院ではさみを取り除くための手術を受ける予定だ。女性の身元は公表されていない。
体内に残された手術器具、感染や臓器の損傷など深刻な合併症のリスクも
このように、手術の過程でガーゼや手術器具などが患者の体内に残される事例は、まれではあるものの、これまでにも継続的に報告されてきた。中には、はっきりとした症状が出ず、長期間にわたり発見されないケースもある。しかし、時間の経過とともに感染や炎症の反応を引き起こし、腹膜炎や急性の腹痛、腹腔内の膿瘍、腸閉塞、腸穿孔といった深刻な合併症につながる恐れがある。
手術用のガーゼのような繊維質の異物が体内に残って炎症の反応を引き起こす現象は「ガーゼオーマ(gossypiboma)」と呼ばれている。ガーゼには細菌が繁殖しやすく、感染のリスクも高まる。はさみやメスといった鋭利な手術器具が体内に残された場合、臓器や組織を傷つけたり、内部出血を引き起こしたりする恐れがある。体内に残された手術器具が時間が経つにつれて移動し、別の臓器に入り込んだ事例も報告されている。
体内の異物を取り除くために追加の手術が必要となる場合、患者の回復にかかる期間も長くなり、身体への負担も大きくなる可能性がある。治療が遅れた場合には、命を脅かす事態につながる恐れもある。
専門家は、手術後の痛みが長期間続いたり、刺すような痛みや持続的な炎症の症状が現れたりした場合には、すぐに検査を受けて正確な原因を突き止める必要があると強調している。
医療界では、こうした事故を防ぐため、手術の前後に器具やガーゼの数を最低2回以上確認したうえで、必要に応じて患者が退院する前にX線検査を実施することが重要だとしている。また、手術歴のある患者が長期にわたり原因不明の痛みや炎症の症状を訴えた場合には、体内に異物が残されている可能性も考慮すべきだと助言している。













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