「最悪の選択をした、代償を払うことになる」米軍、イラン140カ所を一斉空爆

引用:米中央軍のX
引用:米中央軍のX

終戦に関する了解覚書(MOU)第5項の解釈の違いを発端とする米国とイランの対立が、制御不能な勢いで拡大している。ホルムズ海峡の開放を巡る両国の隔たりが埋まらず、終戦MOUは事実上、紙切れ同然の扱いを受けている。

7~8日の交戦後、米国とイランは数日間、軍事衝突を自制する姿勢を見せていた。しかし、その後は両国の指導者が「壊滅」「復讐」といった言葉を使い、緊張を一段と高めている。さらに、イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)がホルムズ海峡で商船に銃撃を加え、海峡を「全面封鎖する」と宣言したことで、軍事行動と報復の応酬が再び始まった。

銃撃直後、米中央軍(CENTCOM)はイラン南部のレーダー基地などを空爆した。これに対し、イランはバーレーンやカタールなどにある米軍基地へ再び報復攻撃を行い、ホルムズ海峡周辺国も「報復の悪循環」に巻き込まれている。

11日(現地時間)にイランへの空爆を実施した米中央軍は、先週の3日間にわたる空爆で、イラン国内の300か所以上の標的を攻撃したとSNS「X(旧ツイッター)」で明らかにした。これに先立ち、米中央軍は、IRGCの攻撃によってキプロス船籍のコンテナ船に乗っていた民間船員1人が行方不明となり、船内で火災が発生したほか、機関室が深刻な損傷を受けて航行不能になったと説明した。

米中央軍は「イランは以前の商船攻撃を巡って責任を問われる中、MOUを順守する機会を再び与えられたにもかかわらず、またも約束を破った」と強調した。さらに「今回の空爆は最高司令官の指示に基づいて実施している」と付け加えた。

引用:毎日経済
引用:毎日経済

米戦争省(旧国防総省)のピート・ヘグセス長官は、イランへの空爆についてSNS「X(旧ツイッター)」に「イランは最悪の選択をした。これからその代償を払うことになる」と投稿している。

米国とイランの発表後、イラン各地で爆発音や炎が確認されたと海外メディアが伝えた。ロシア国営タス通信はイランメディアを引用し、ホルムズ海峡にあるケシュム島をはじめ、イラン南部のアサルーイェやブーシェフルで爆発音が聞こえたと報じている。アサルーイェにはイラン最大の石油精製施設があり、ブーシェフルには商業用原子力発電所が設置されている。

ロイター通信はイラン国営放送(IRIB)を引用し、イラン南部の港湾都市バンダルアッバースで3回の爆発が報告され、シーリークでも2回の爆発が起きたと報じた。IRIBによると、イラン南東部のチャーバハールでも爆発が確認された。

再び報復に乗り出したIRGCは同日、ヨルダンの空軍基地を攻撃したと発表した。アラブ首長国連邦(UAE)当局は、ミサイルやドローンによる脅威に対応していると明らかにしている。バーレーンでは空襲警報のサイレンが鳴ったと米CNNが伝え、カタール国防省も飛来したミサイルを迎撃したと公表した。

前日、米国のドナルド・トランプ大統領は、イランが自身の暗殺を試みた場合、イラン全土を完全に破壊すると警告した。トランプ大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」に「イラン政府が何度も公言してきた脅迫通り、現職の米国大統領、つまり私を暗殺するか、暗殺を試みた場合、既にイランに照準を合わせて発射態勢にある1,000発のミサイルが撃ち込まれ、直ちに数千発が続く」と投稿している。

トランプ大統領は「命令は既に下されている。米軍は1年間にわたり、必要であればさらに期間を延長し、イランを完全に壊滅(decimate)させ、全土を徹底的に破壊する準備と意志、能力を備えている」と述べた。

これに先立ち、トランプ大統領は別の投稿で「イラン・イスラム共和国が我々に『対話』を続けてほしいと要請してきた」と明らかにした。その上で「我々はこれに同意したが、米国はイラン側に停戦が終了したと明確に伝えた」と語っている。

イランの最高指導者であるアヤトラ・モジタバ・ハメネイ師は、父であるイランの前最高指導者、アヤトラ・アリ・ハメネイ師と戦争の犠牲者に対する復讐を誓った。

モジタバ・ハメネイ師は、父の葬儀に関する書面メッセージで「我々は凶悪で恥ずべき殺人者たちに対し、あなたと、この2度の戦争で犠牲となったすべての殉教者の清らかな血への復讐を誓う」と表明した。さらに「この復讐は我々国民の要求であり、必ず実行されなければならない」と強調している。

トランプ大統領による「停戦終了」宣言を巡っても、イラン側は強硬な姿勢を示した。イラン側の交渉団を率いてきたイランのモハンマド・バーゲル・ガリバフ国会議長は同日、「戦争の終結が最優先課題であることは明らかだが、この紛争がイランの降伏によって終わることは決してない」と述べた。

トランプ大統領が「イランから対話を続けてほしいとの要請があった」と発言したことについて、イランのエスマイル・バガイ外務省報道官は「米国との交渉を要請した事実はない」と否定した。

一方、両国間の対話再開に向け、仲介国による水面下の働きかけも続いている。米オンラインメディアのアクシオスは関係者の話として、来週、スイスで米国とイランによる追加協議が開かれる予定だと報じた。事情に詳しい外交官は、仲介国であるカタールの関係者が同日中に米国側と調整した上でイランを訪問し、当局者らと会談すると伝えている。

望月博樹
望月博樹

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