「6日で76隻を次々攻撃」ウクライナ、ロシアの海上輸送網を“射撃場”に変えたのか

出典:ロイター通信
出典:ロイター通信

ウクライナ軍は6日間でアゾフ海を往来するロシア船76隻をドローン(無人機)で攻撃したと主張した。ウクライナはロシアの精製施設と石油貯蔵所に続き、海上輸送網まで集中的に攻撃し、ロシアの燃料・穀物輸送に非常事態が発生した。米軍事専門メディアのウォー・ゾーン(TWZ)は11日(現地時間)、ウクライナ無人システム軍・第414独立無人システム旅団「マジャールの鳥」の発表を引用してこのように報じた。

旅団側は同日の夜、アゾフ海でタンカー21隻、曳船4隻、貨物船2隻、特殊目的船1隻など計28隻を攻撃したと明らかにした。さらに6日から6日間で攻撃した船舶は、計76隻に達すると付け加えた。ウクライナ軍はこれらの船舶の大半を西側制裁を逃れロシア産石油と燃料を運ぶいわゆる「シャドーフリート」と規定した。ただし、個別の船舶の損傷程度や沈没の有無は確認されていない。TWZもウクライナ側の主張を独自に検証できていないと明らかにした。

さらに旅団側は、船舶攻撃とともにロシアが占領したクリミア半島やウクライナ南部地域の艦隊施設、エネルギー基盤施設などの軍事目標53か所も攻撃したと主張した。旅団側は今回の作戦を「クリミア停電作戦(Crimean Switch Off)」と称した。

引用:ウクライナ無人システム軍・第414独立無人システム旅団「マジャールの鳥」
引用:ウクライナ無人システム軍・第414独立無人システム旅団「マジャールの鳥」

ウクライナ軍は6日から攻撃映像を相次いで公開した。初日にはロシアのタガンログからクリミア半島にガソリンを運んでいたタンカー2隻を攻撃したと発表した。翌日にはタンカー8隻、貨物船1隻、旅客・自動車運搬船1隻を攻撃したと主張した。続いて8日に9隻、9日に14隻、10日に13隻を攻撃したと明らかにし、11日には1日だけで28隻を追加した。

引用:X@414magyarbirds
引用:X@414magyarbirds

映像にはドローンが海上で移動するか停泊した船舶に接近した後、船体と上部構造物に突進するシーンが収められていた。一部の船舶では攻撃直後に炎と煙が立ち上った。ウクライナ軍は投入したドローン機種を公開していない。TWZは映像に現れた製造者の表示と専門家の分析を基に、ウクライナの防衛産業企業ファイアポイントが製造した「FP-2」である可能性を提起した。

FP-2は最大200㎏級の弾頭を搭載し、約370㎞を飛行できるとされている。この程度の射程であれば、ウクライナの制御地域からアゾフ海の大部分を攻撃圏に入れることができる。軍は衛星通信でドローンを遠隔操縦しながら動く船舶を追跡したと推定される。

ロシア内部でも批判が出た。ロシアの軍事ブロガーたちはタンカーが適切な護衛なしに移動し、事実上ウクライナのドローン操縦者たちの「射撃場」に置かれていると指摘した。黒海艦隊さえ自国の艦船を防御するのが難しい状況で民間船舶を保護する余力も不足しているという。

引用:Google Earth
引用:Google Earth

ロシアは相次ぐ攻撃を受けた後、ドン川とアゾフ海を結ぶドン・アゾフ運河の船舶運航を一時中断した。ロイター通信はロシア穀物輸出業界の関係者を引用し、ロシア当局が10日に船舶13隻が攻撃された後、運河通行を止めたと報じた。その際の攻撃対象にはタンカー10隻が含まれていたという。ロシア国境警備局は、ケルチ海峡の通航申請も受け付けていなかったと伝えられている。

ドン・アゾフ運河はロシア南部の穀倉地帯で生産された穀物を黒海に運ぶ重要な通路だ。世界最大の小麦輸出国であるロシアが海外に出す小麦の最大25%がアゾフ海を経由する。運航中断の知らせが伝えられると、欧州の小麦先物価格は一時4%上昇し、約6週間ぶりの最高水準を記録した。運河の閉鎖が長引けばロシアの穀物輸出だけでなくクリミア半島に向かう燃料や軍需物資の輸送も滞る可能性がある。

ウクライナは最近ロシアの精製工場と石油貯蔵施設、港湾を集中的に攻撃し、戦争遂行に必要なエネルギー供給網を揺るがしている。アゾフ海の船舶攻撃もクリミア半島を孤立させ、ロシアの戦争費用を引き上げようとする戦略の一部と見られる。ただしウクライナが主張した76隻すべてが破壊されたり運航不能状態に落ちいたりしたわけではない。公開された映像だけでは全体の被害を確認するのが難しいため、実際の損失規模はロシア側の資料や衛星写真などを通じて追加で確認する必要がある。

竹内智子
竹内智子

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