「イランはダメ、米国ならいい」トランプ氏の通行料構想に露呈した“大矛盾”

米国のドナルド・トランプ大統領が示してきたホルムズ海峡の通行料構想は、わずか3か月の間に4度も変わった。4月の「米国が徴収してはどうか」との発言に始まり、「通行料は望まない」、「米国による徴収は例外になり得る」と立場を転換し、今回は、貨物の価額の20%を米国が徴収する案まで打ち出した。しかし、構想が具体化するにつれ、国際法上の根拠や実現可能性、世界経済に及ぼす影響を巡る議論も強まっている。
トランプ大統領は13日、SNS「トゥルース・ソーシャル」に「米国は今後、『ホルムズ海峡の守護者(Guardian of the Hormuz Strait)』として知られることになる」と投稿した。さらに、「この不安定な地域に安全と治安を提供するために必要な費用の全額を補填してもらうため、輸送されるすべての貨物に20%の料率を適用する」と表明。関連手続きを直ちに開始するとしたものの、具体的な徴収対象や方法は明らかにしていない。
トランプ大統領のホルムズ海峡通行料構想は、数か月の間に二転三転している。4月にイランがホルムズ海峡で通行料を徴収しようとした際には、「イランが通行料を徴収してはならない」とする一方、「いっそのこと米国が徴収してはどうか」と述べ、世界を驚かせた。軍事衝突前には自由な航行が認められていたホルムズ海峡で、イランによる通行料徴収を阻止するだけでなく、米国が代わりに徴収するという予想外の構想を示し、国際社会を困惑させる発言となった。
しかし、トランプ大統領は5月になると、ホルムズ海峡を「国際水路」と呼び、「我々は通行料を望んでいない」と述べた。6月17日にイランと停戦覚書(MOU)を締結した後には、再び立場を転じている。トランプ大統領は、60日間の停戦期間中だけでなく、その後も通行料を設けるべきではないとしながら、交渉が決裂した場合には「米国が課すものは例外だ」とする「米国例外論」を持ち出す。米国はホルムズ海峡の安全を守る「守護天使(Guardian Angel)」の役割を果たしてきたため、その費用を補填してもらう権利があるとの論理である。当時、具体的な金額や比率は示していない。
今回はさらに一歩踏み込み、米国例外論を実際の政策に発展させるかのように、米国が通行料を徴収すると宣言し、初めて「20%」という具体的な数値を示した。イランによる徴収には、ホルムズ海峡が国際水路であることを理由に反対しながら、米国が徴収する通行料は正当だという論理へ変わったことになる。これは、米国のマルコ・ルビオ国務長官が6月に「手数料も通行料も同じであり、ホルムズ海峡は国際水路だ」「通航のために金銭を支払うことを支持する国は、地球上のどこにもない」と述べたトランプ政権の従来の立場とも矛盾する。
特に、トランプ大統領が示した20%という比率は、通常の船舶通行料や護衛費用とは次元が異なるとの指摘が出ている。トランプ大統領は貨物の価額の20%と説明したが、具体的な算定基準は示していない。積載貨物全体の価額を基準とする場合、原油や液化天然ガス(LNG)をはじめとする世界のエネルギー貿易に、大規模な税を課すのと同様の効果をもたらす可能性がある。同じ航路を利用し、同水準の保護を受ける船舶であっても、貨物の価格が高いほど負担が増えるため、実際の警備費用との直接的な関連も乏しい。
誰が費用を負担するのかも不明だ。船主や海運会社に課すのか、貨物の所有者や輸入国政府に請求するのかに加え、米国に支払わない船舶の通航を米海軍が物理的に阻止するのかについても示していない。米国がどの法律や管轄権を根拠として、他国の船舶から費用を徴収するのかも明らかにしていない。
国連の専門機関である国際海事機関(IMO)は同日、「ホルムズ海峡のような国際海峡では、国際法に基づき、いかなる通行料や負担金も課されることなく、自由な通航が保障されなければならない」とする従来の原則を改めて確認した。民間商船を標的とした攻撃を非難する一方、米国が示した20%の構想は、国際法上の自由通航の原則と衝突する可能性があることを示唆するものだ。
ホルムズ海峡は、軍事衝突前には世界の原油供給量の約20%が通過していた重要なエネルギー輸送路である。実際に導入されるかどうかにかかわらず、トランプ大統領の20%構想によって、運賃や保険料、原油の国際価格が上昇する可能性があるとの懸念が出ている。米国とイランの軍事衝突で不安定化した海峡の安全を確保する費用を、世界各国の荷主や消費者に事実上転嫁しようとしているのではないかとの批判も上がっている。

















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