
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、ドナルド・トランプ米大統領に対し、イランでの反政府デモを流血を伴う形で鎮圧した問題をめぐる軍事攻撃を思いとどまるよう促したのは、イスラエル国防軍(IDF)が迎撃ミサイルの備蓄を十分に確保できていないとの見方が出ている。
イスラエル紙「エルサレム・ポスト」は1月18日(現地時間)、イランが弾道ミサイルで報復する可能性を踏まえると、IDFの備えが万全ではない点が、ネタニヤフ首相がトランプ大統領の計画に慎重論を示した主要因の一つとして取り沙汰されていると報じた。
イスラエルの中・長距離の弾道ミサイル防衛は、「アロー3」に代表される迎撃システムが担う。米国と共同開発したアローは、大気圏外を含む高高度での迎撃を想定したミサイル防衛だとされる。
背景として挙げられているのが、昨年6月のイランとイスラエルの戦争で迎撃ミサイルを大量に消耗した点だ。当時、イスラエルはアローなどでイランの弾道ミサイルを迎撃した一方、迎撃弾の消耗が大きく、米国の高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の支援で防空体制を補ったとの説明もある。
一方のイランも、戦争で空爆を受けて弾道ミサイル戦力が弱体化したものの、最近は工場を24時間態勢で稼働させるなど再建を急いでいるとされる。報道では、先月時点で中距離級の弾道ミサイルを2,000発以上確保し、戦争前の水準を回復したとの評価も伝えられた。

こうした情勢を踏まえると、ネタニヤフ首相は、IDFの迎撃ミサイルの在庫がイランの報復攻撃を受け止めるにはなお不足すると判断した可能性がある。米国の攻撃で得られる実益が明確でない中、報復によってイスラエル側に死傷者が出れば、ネタニヤフ首相が負う政治的コストも重くなるとの見立ても示されている。
昨年6月の戦争では、イランが弾道ミサイル約550発を発射し、数十発が防空網をすり抜けてイスラエル領内に落下したとされる。イスラエル側は、この攻撃で28人が死亡し、負傷者は3,000人を超えたと説明している。
イスラエルは、イランの再建速度を上回るペースで迎撃ミサイルの補充を急いでいるとも伝えられた。
なお、「ニューヨーク・タイムズ」は1月15日、米政府高官の話として、ネタニヤフ首相がトランプ大統領と電話協議し、対イラン軍事攻撃計画の延期を要請したと報道した。イランと敵対関係にあるにもかかわらず、ネタニヤフ首相が攻撃の先送りを求めた理由は当初は明確でないとされていたが、その後、ミサイル防衛の脆弱性が一因との分析が浮上している。
















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