
高市早苗首相が、来月8日の早期総選挙を前に、対中強硬路線を再び前面に押し出した。昨年の「台湾有事」発言以降は「中国との対話の扉は開かれている」との原則を繰り返し、表現の強度を調整してきたが、選挙戦に入る中で、保守層の引き締めを意識した強いメッセージを改めて打ち出す構図となっている。
高市首相は19日、首相官邸での記者会見の冒頭発言で「国際情勢がさらに厳しさを増している」と述べ、中国軍が台湾周辺で行う軍事訓練に直接言及した。続けて、サプライチェーン上の物資を管理手段として他国を屈服させようとする「経済的な威圧」の動きがあるとも述べ、中国による輸出規制措置を念頭に置いた。記者の質問に答える形ではなく、事前に用意した発言の中で中国を名指しした点が注目される。
さらに、主要な経済団体との懇談でも高市首相は、経済安全保障の観点から重要物資が特定の国に過度に依存しないよう求め、事実上、中国依存の縮小を促した。
20日付の読売新聞は、こうした一連の発信について、中国との緊張が高まる中で安定した政権基盤が必要だという認識を示したものだと分析した。
一方で、こうした戦略が選挙後の外交運営をかえって縛り、路線の柔軟性を損なう「逆説」につながりかねないとの見方も出ている。
大阪経済大学の畑昌樹准教授は朝日新聞に対し、日中関係悪化による経済被害を抑えるために首相が関係改善のメッセージを出したくても、支持層がそれを「後退」と受け止めれば支持率が急落するリスクが高まり、路線転換が難しくなると指摘した。東京大学の境家史郎教授も、首相が「親中的ではない」とみなされること自体が政治的にプラスに働いていると述べた。
実際、朝日新聞が17~18日に行った全国調査では、首相の対中外交路線を「評価する」との回答が55%となり、「評価しない」(30%)を大きく上回った。中国との関係悪化が経済に与える影響を「懸念する」と答えた層に限っても、40%が首相の対中路線を肯定的に評価している。















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