
高市早苗首相の歴史的な選挙勝利を受け、日中関係が新たな試練に直面している。圧倒的な議席を得て外交・安全保障政策の裁量を広げた日本と、台湾問題を巡る「越えてはならない一線」を守ろうとする中国の間で、緊張が再び高まる展開となった。
9日(現地時間)、ブルームバーグ通信は、高市首相が解散総選挙で過半数を超え、3分の2に迫る議席を確保したと報じた。中国が経済・外交両面で対日圧力を強めてきた局面と重なり、摩擦が一段と目立つ形になっている。高市首相は昨年、国会で中国が台湾に侵攻した場合の対応に触れたとされ、その後、中国側は輸出統制や観光面の制限などで圧力を加えてきた。
中国指導部はいま、対応の選択を迫られている。対日圧力を維持するのか、それとも長期的に関係を安定させる出口を探るのかという判断だ。高市首相は安定的な関係を望む姿勢を示している一方、台湾を巡る発言を撤回するのは、国内政治上難しいとの立場を明確にしている。日本政府内には、強い国内支持を背景に政権が長期化する可能性がある以上、中国も関係管理に動かざるを得なくなるとの見方がある。
もっとも、中国側の公式反応は冷淡だ。林剣中国外務省報道官は「選挙結果で対日政策は変わらない」との趣旨を述べ、発言の撤回を改めて求めたという。中国国内の一部からは、高市首相が勝利を機に北京へ先に融和シグナルを出すべきだとの声も上がっている。北京のシンクタンク関係者は、西側主要国が対中関係の再調整を模索する流れの中で、日本も現実的な判断が必要になると語った。
今回の摩擦は、ドナルド・トランプ大統領にとっても厄介な変数になり得る。安全保障と経済で重要なパートナーである日本を支える一方、中国とは脆弱な貿易休戦を維持しており、両面の管理が求められるためだ。高市首相は来月、ホワイトハウスでの首脳会談に出席する予定とされ、これはトランプ大統領の訪中を控えたタイミングと重なる。
トランプ大統領は選挙直後、自身のSNSで高市首相の「力による平和」路線を評価し、同盟国に国防費の増額を促した。スコット・ベッセント米財務長官も、日本の強さが米国の地域戦略を支えるとの趣旨の発言をしたという。

国内では強硬姿勢がさらに鮮明になる可能性も取り沙汰される。高市首相は最近のテレビ番組で、靖国神社参拝を巡り「適切な環境を整えている」と述べたとされる。自民党は衆院で3分の2に近い勢力を得たことで、憲法改正の発議要件を満たす見通しとなった。高市首相は、戦後の枠組みの象徴とされる平和憲法の改正を長年主張してきた。
一方、緊張が必ずしも長期化するとは限らないとの指摘もある。2012年と2014年に安倍晋三首相(当時)が大勝して政権を固めた局面では、領土問題で冷え込んだ日中関係が時間をかけて持ち直した経緯があった。ただし今回は台湾問題が直接絡むため、中国が圧力の水準を下げにくいとの見方が優勢だ。
ユーラシア・グループの中国・日本担当シニアアナリスト、ジェレミー・チャン氏は、中国が高市首相の組閣人事や訪米の行方、さらに「中国の脅威に備えて防衛力を強化する」とする公約が実行に移されるかを注視すると述べた。
今年11月に中国・深圳で予定されるAPEC首脳会議は、習近平国家主席と高市首相が直接対話する機会になり得る。ただ、日中関係の方向性が変わるまでには相応の時間がかかるとの見通しも出ている。













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