中国、民間通じ機微情報公表、対米「グレーゾーン戦術」

引用:サウス・チャイナ・モーニング・ポスト
引用:サウス・チャイナ・モーニング・ポスト

香港サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は26日、中国の民間商業衛星会社が最近、イラン周辺に展開する米空母など戦略資産の動向を詳細に公開し、注目を集めていると報じた。

報道によると、過去2年間にわたり米軍関連の監視情報を継続的に投稿してきた中国企業ミザービジョンは、米国とイランの政治・外交・軍事的対立が高まる中、イラン周辺における米軍の現況や軍事的動きを具体的に公開している。

ミザービジョンはこの1カ月、サウジアラビア、ヨルダン、ギリシャ、カタールに配備された米軍資産を詳しく紹介した。前日には、世界最大級の米海軍空母ジェラルド・R・フォードがギリシャ・クレタ島に到着したことを受け、イラン周辺の米軍状況を更新した。関連施設に所在する米軍施設の戦闘機の機種や機数、防空システムに関する情報も含まれている。

海外メディアの報道によれば、最近、地中海に入ったジェラルド・R・フォードは、アラビア海のエイブラハム・リンカーン空母打撃群に合流する見通しだという。

米軍はこのほか、イラン近くのホルムズ海峡に駆逐艦マクフォールとミッチャー、紅海にデルバート・D・ブラックを配備した。さらに中東地域にはF35、F22のステルス戦闘機やB52H戦略爆撃機数百機に加え、早期警戒機や給油機、輸送機も集結させている。

ミザールビジョンは前日の投稿で「高解像度の衛星画像によれば、カタールのアル・ウデイド空軍基地では給油機と輸送機が減少したが、防空・ミサイル防衛システムは依然配備されている」と指摘した。アル・ウデイド空軍基地は中東最大級の米軍拠点で、約1万人が駐留。昨年6月には、米軍による核施設空爆への報復としてイランが攻撃した経緯もある。

ミザービジョンはまた、インド洋中部のディエゴ・ガルシア米空軍基地についても精密監視を行い、現況を伝えている。米国がイラン攻撃に踏み切った場合、同基地が主要な兵站拠点となる可能性が高いためだ。22日には、米軍のC17輸送機編隊が「依然として大西洋を横断し中東へ軍需物資を輸送している」と投稿した。

引用:サウス・チャイナ・モーニング・ポスト
引用:サウス・チャイナ・モーニング・ポスト

SCMPは、米国とイラン間の緊張が極度に高まる中、中国の民間企業がこのような機微な米軍軍事情報を公開するのは異例だと指摘した。

米中央情報局(CIA)の元中国分析責任者でジョージタウン大学のデニス・ワイルダー教授は「中国当局が民間企業ミザービジョンによる米軍動向の公開を容認している理由は疑わしい」と述べた。

一方、中国国内ではミザービジョンのこうした情報公開を歓迎する声もある。

人民解放軍退役大佐のウェイ・ガン氏は、機密ではないものの入手が難しい米軍関連情報を提供することで研究機関や海外事業者が恩恵を受けているとし「中国国家の情報能力を補完する有益な試みだ」と主張した。元軍教官で軍事評論家の宋忠平氏も「ミザービジョンの米軍動向情報公開は衛星探知能力を示す宣伝行為だ」と語った。

ミザールビジョンは2024年にフィリピン近海を航行する中国空母・山東の衛星写真を、2023年には台湾海峡上空を飛行する米海軍P8A対潜哨戒機の画像を公開している。ミザービジョンは自社サイトで、AIを活用した地理空間ビジネス分析企業と説明している。

引用:X
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しかし外交筋の間では、ミザービジョンが中国人民解放軍と連携した商業衛星運用を通じ、事実上の偵察・情報収集活動を行っているとの見方が強い。中国当局が直接前面に立たず、民間企業を通じて米軍情報を公開することで外交摩擦を避けつつ対米牽制を図る「グレーゾーン戦術」との分析だ。

ミザービジョンが高解像度の監視能力で中東各地の米軍基地に展開する先端資産の状況をほぼリアルタイムで把握し公表することは、米国への警告であると同時に、中東地域の利害当事国の支持を得て中国の影響力拡大を図る狙いがあるとの指摘もある。これにより中東における米軍の「戦略的曖昧さ」を弱め、イランを含む反米連携を強化する可能性があるとの見方も出ている。

一方、米国のドナルド・トランプ大統領は前日の施政方針演説で「イランと交渉を進めている」としつつ「イランの核保有は決して容認できない」と強調した。イランへの限定的な空爆も検討していると伝えられる。

これに対しイラン側は、核計画は平和目的だと主張し、攻撃を受ければ報復するとしている。

望月博樹
望月博樹

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