
中東進出の有力な足場と見なされてきたアラブ首長国連邦(UAE)のドバイが地政学的混乱に巻き込まれ、東南アジアやインドなどアジアの投資家の懸念が強まっている。イラン戦争に伴う6週間にわたるホルムズ海峡封鎖と、イランによるドローン・ミサイル攻撃がドバイの安全地帯としての地位を揺るがし、流動性、信用、市場の信認に及ぶ金融インフラ上のリスクを浮き彫りにしたためだ。
12日付のサウスチャイナ・モーニング・ポストによると、ドバイを拠点に中東、アフリカ、欧州へ事業を拡大しようとしていたアジアのフィンテック、人工知能(AI)、ブロックチェーン関連企業は、投資戦略の全面的な見直しに乗り出した。
ドバイは外資100%出資の容認や税制優遇を前面に打ち出し、1,670社以上のテック企業を呼び込んできた中核的な金融拠点である。昨年ドバイに流入した外国直接投資(FDI)は140億ドル(約2兆2,360億円)に上り、このうちインド資本が21.5%を占めるなど、南アジアと東南アジアの資金への依存度は極めて高い。ところが、最近のイランによるドローンとミサイル攻撃で、ドバイとアブダビの主要データセンターやクラウドサービスが直接打撃を受け、投資家の不安は物理的脅威にとどまらず、資本の流れや信用収縮への警戒へと広がった。
とりわけ深刻なのは、金融と物流のインフラが同時に機能不全へ傾いている点にある。世界有数の取扱量を誇るジュベル・アリ港は、攻撃で生じた破片の影響で稼働停止に追い込まれ、ドバイ国際空港でも一部運用に支障が生じた。これに加え、イランがホルムズ海峡を封鎖したことで原油価格は1か月で60%急騰し、1バレル当たり100ドル(約1万6,000円)を突破した。その結果、海運市場では深刻な流動性危機が広がった。新興市場向け投資プラットフォームFassetの消費財金融担当幹部、ラフィザ・ガザリ氏は、テック企業にとって真の脅威は物理的インフラそのものではなく、ホルムズ海峡のような核心ルートが揺らぐことで市場の信頼が崩れ、金融インフラまでまひする点にあると指摘した。
アジアの投資家の間では、資本流出の兆しも鮮明になっている。ブロックチェーンコンサルタントのアンディ・リアン氏は、不安を強めたアジアの富裕層や投資家が、流動資産をシンガポールや香港といった比較的安全とみられる地域へ移していると語った。インド・ブロックチェーン・アライアンスのラージ・カプール会長も、現在は利用可能な資本の20~40%が事実上拘束された状態にあるとしたうえで、地域紛争とは無関係と受け止められてきたドバイの安全神話が崩れたことが最大の衝撃だとの見方を示した。
一方で、ハブとしての基礎的な競争力はなお保たれているとの評価もある。専門家の間では、今回の混乱を恒久的な構造変化というより、危機対応力を試すストレステスト(危機対応能力の評価)としての一時的な衝撃とみる声が出ている。ただ、複合的な安全保障上の脅威が完全に解消されない限り、ドバイに向けられるアジア投資家の不安な視線は当面続く見通しだ。













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