イラン戦争が終わっても、米国の仲介再開は困難か

ウクライナとロシアは、米国のドナルド・トランプ政権が仲介してきたウクライナの終戦交渉について、事実上行き詰まったと判断しているという。
米国が距離を置く中、ロシアはウクライナ東部ドンバスの完全掌握を狙っており、ウクライナはロシア本土への攻撃を拡大している。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、ウクライナとロシアは、米国とイランの戦争が終わっても、トランプ政権が仲介していたウクライナ和平協議が再開される可能性はほとんどないとみている。
米国、ロシア、ウクライナは1〜2月にかけて、2022年2月にウクライナ戦争が始まって以降初めて、3者による終戦交渉を行った。追加協議は3月初めに予定されていたが、2月28日にイラン戦争が始まったことで無期限に延期された。
トランプ大統領は先週、ロシアの対独戦勝記念日を前に、ウクライナとロシアの3日間の停戦を仲介した後、「合意に日々近づいている」と主張した。しかし、双方とも米国が仲介する終戦交渉には見切りをつけつつある。
ウクライナ側はイラン戦争以前から、米国がロシアに十分な圧力をかけられず、終戦条件を緩和させられなかったことに不満を示してきた。ウクライナ当局者の一人は「交渉できることはすでにすべて行った」と述べた。
ウクライナ終戦の最大の障害は、ウクライナ東部ドンバスをめぐる領有権問題だ。ロシアはドンバスにいるウクライナ軍の完全撤退を求めており、ウクライナは追加の領土譲歩なしに現在の前線で凍結する案を主張している。
ウクライナ戦争の開始以降、ドンバスではロシア軍が約90%を占領し、ウクライナ軍は残る約10%で最後の防衛線を守っている。
ロシア側の事情に詳しい情報筋によると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ドンバスを完全に掌握した後、終戦に向けた要求をさらに強める考えだという。
ウクライナによるロシア本土へのドローン攻撃が拡大し、前線でのロシア軍の進軍が鈍っているにもかかわらず、プーチン大統領はウクライナ側の防衛線が近く崩れるとの見方を崩していない。
同大統領は9日、対独戦勝記念日の軍事パレード後の記者会見で「ウクライナ紛争は終結に近づいていると思う」と述べた。そのうえで、「敵の最終的な敗北」を実現することに集中していると話した。
ウクライナ情報当局によると、ロシア軍司令部は、秋までにドンバス全域を掌握できるとプーチン大統領に報告したという。
ロシアがドンバスの完全掌握に成功すれば、プーチン大統領の要求はさらに強まる可能性がある。一部では、ロシアが最終的にウクライナ南部オデーサの黒海の主要港や、首都キーウの掌握まで狙う可能性も指摘されている。
ロシア本土への攻撃を拡大するウクライナは、不利な合意を拒んでいる。
ウクライナは最近、ロシア本土へのドローン攻撃を相次いで成功させ、一定の交渉力を高めたと判断している。米国がロシア寄りに傾いて迫っていた「早期だが不利な合意」を受け入れる理由は薄れたという立場だ。
同時に、ウクライナは欧州の仲介を通じ、ロシアとの間で空港への相互攻撃を停止する「空港停戦」などを進めようとしている。欧州の指導者には、ウクライナ終戦に向けてより具体的な役割を果たすよう求めている。
欧州では、大西洋同盟に亀裂が生じていることを踏まえ、ウクライナ問題でこれ以上米国だけに頼ることはできないとの認識が広がっている。
欧州理事会のアントニオ・コスタ議長とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、プーチン大統領との直接会談の可能性に言及した。
プーチン大統領は、欧州との対話の可能性について曖昧な態度を続けており、「交渉を拒否したのはロシアではなくEUだ」と述べ、親しい関係にあるドイツのゲアハルト・シュレーダー元首相を対話相手として挙げた。
EUとウクライナ側は、これを受け入れ難い提案とみている。ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、親ロシア派として知られる米俳優スティーブン・セガールや、仏俳優ジェラール・ドパルデューを交渉の場に送るほうがましだと一蹴した。













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