
24日(現地時間)にベネズエラを襲った大規模な連続地震を受け、政権への国民の不満が高まる兆しが、今年1月に発足した親米派のデルシー・ロドリゲス暫定大統領だけでなく、ドナルド・トランプ米大統領の政治的負担にも発展する可能性が指摘されている。トランプ政権は今年1月、ニコラス・マドゥロ前大統領を軍事作戦によって排除した後、事実上ベネズエラの暫定統治を進めてきた。
こうした状況の中、ロドリゲス政権が震災対応に失敗すれば、ベネズエラを拠点として中南米で影響力を拡大してきた中国に対抗するというトランプ政権の構想にも支障が生じかねない。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、「今回の地震は、ベネズエラと米国の『強いられた(forced)同盟関係』を試している」と評価した。
27日にベネズエラ当局が発表した公式統計によると、死者は1,430人、負傷者は3,238人、行方不明者は少なくとも6万8,900人に上る。生存者救出の「ゴールデンタイム」とされる発生後72時間(現地時間27日午後6時、日本時間28日午後7時)も過ぎた。被害が深刻な北部ラ・グアイラ州などには軍も投入されたが、救助活動は十分に進まず、国民の怒りは高まっている。

親米政権の危機、トランプ氏にも重荷
ロドリゲス暫定大統領は、マドゥロ前大統領が排除された際に事実上これを容認し、権力の頂点へ上り詰めた人物で、トランプ政権と緊密な関係を築いている。米財務省はロドリゲス政権発足後、世界最大級の原油埋蔵量を誇るベネズエラ産原油の輸出代金を直接管理してきた。事実上、ベネズエラを米国の「経済的保護」を受ける国にした形だ。
ワシントン・ポスト(WP)も、トランプ政権の中南米政策のキーパーソンとされるマルコ・ルビオ米国務長官が、「ベネズエラ総督」の役割を担うことになるとの見方を示した。ルビオ長官はキューバ系で、スペイン語に堪能なことで知られる。
こうした中で未曽有の自然災害が発生し、米国はベネズエラの救援・復興費用まで負担せざるを得ない状況に直面している。国連開発計画(UNDP)は26日、地震による直接被害だけでもベネズエラの国内総生産(GDP)の約6%に当たる67億ドル(約1兆1,000億円)と推計した。さらに道路や橋梁などインフラ被害、広範な社会・経済混乱、長期的な復興費用を含めた経済損失は、その1.5~3倍に達する可能性があると見込んでいる。
米国は25日、ベネズエラの救援団体に1億5,000万ドル(約243億2,300万円)を支援すると発表し、追加支援策も近く打ち出す方針を示した。しかし、この規模では到底十分ではないとの見方が大勢だ。11月の米中間選挙を控え、巨額の財政赤字で批判を受けるトランプ政権が、数兆円規模の追加支援に踏み切る可能性は低いとみられている。
ベネズエラ国民の不満、さらに拡大か
NYTによると、ロドリゲス暫定大統領の支持率は経済低迷などの影響で今年3~5月に3カ月連続で下落し、5月には25%にとどまった。今回の地震でさらに低下する可能性が高い。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、今年上半期(1~6月)だけでベネズエラでは1,400件を超える抗議活動が発生し、すでに昨年1年間の件数の2倍を超えている。 ロドリゲス政権が26日、被害の大きいラ・グアイラ地域に軍・警察約1万4,000人を投入したことも、国民の反発を強める可能性がある。ロドリゲス大統領は「救助活動を円滑に進め、治安を維持するためには軍の投入が不可欠だ」と説明したが、強硬な統制が住民との衝突を招く恐れもある。実際、市民のジェイソン・マルカノ氏はAP通信に対し、「警察も軍も何の助けにもならなかった。仕事をしているふりをするため写真を撮りに来ただけだ」と怒りをあらわにした。 また、政権への不信感が強い一部住民が独自に支援物資の搬送を始めたことで、救急車や救助隊の到着が遅れる事態も起きている。NYTによると、26日には首都カラカスからラ・グアイラ州へ向かう高速道路にバスや支援物資を積んだトラックが殺到し、本来約1時間の移動時間が4時間まで延びたという。
















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