「客は払ったのに店には届かない」決済代行会社が“破産”、2万店の売上金53億円が宙に浮く
決済代行会社が破産、加盟店20万店に混乱広がる
2万店に売上金未払い、約53億円が回収困難に
20年以上の粉飾決算疑惑も浮上
クレジットカード決済代行会社(PG)が破産したことで、同社と契約していた全国の飲食店などが売上代金を受け取れない恐れが出ている。

聯合ニュースは9日、日本経済新聞などを引用し、大阪に本社を置くクレジットカード決済代行会社(PG)の全東信が6日、大阪地方裁判所から破産手続き開始決定を受けたと報じた。全東信は「破産手続きの開始に伴い、決済代行サービスを停止する」とし、利用者がカードで支払った後、加盟店に入金される前の売上金は「破産債権として扱われ、当初の期限内に弁済できない」と明らかにした。
全東信は2006年に設立された決済代行業者で、利用者がカードで支払った代金を、カード会社からの入金に先立って加盟店に立て替え払いし、手数料を受け取る「早期決済代行」サービスを手掛けてきた。カード会社が通常、売上代金を月2回支払うのに対し、加盟店は売上金を前倒しで受け取れるため、資金繰りの厳しい個人飲食店ほど依存度が高かった。
主な顧客は、キャバクラやホストクラブ、スナックなど、カード会社の審査を通過しにくい接待を伴う飲食店だった。「全東信を通せば審査に通る」という評判が広まり、加盟店網を拡大した。加盟店は2018年に20万店を超えたと言われている。
被害はすでに現実のものとなっている。破産管財人によると、少なくとも2万店以上の加盟店がカード売上金を受け取れず、未払い額は約53億円に達するという。大阪・北新地で20年間中華料理店を経営してきた佐藤和弘さんは「開業時から全東信を利用してきたが、売上金が入らなくなった」と訴えた。

飲食業界団体の日本飲食団体連合会(食団連)は6日、緊急の注意喚起を発表し、全東信の端末の即時使用中止、未入金となっている売上金の集計、代替決済手段の確保を呼び掛けた。翌日には、日本政策金融公庫の融資など資金支援策も案内した。
影響は金融機関にも広がっている。破産申請書基準で全東信の債権者は地方銀行や信用組合など60以上に及び、資金繰りが厳しい個人飲食店を中心に連鎖倒産への懸念も高まっている。沖縄銀行などは相談窓口を開設した。
全東信の経営難は、新型コロナウイルス禍により加盟店の営業時間短縮や休業が相次いだことで深刻化した。2020年3月時点で約80億円だった売上高はその後回復せず、赤字に転じた。さらに、20年以上にわたって粉飾決算が続いていたという疑惑も浮上した。東京商工リサーチ(TSR)は、全東信が預金残高を170億円水増しし、架空債権や価値のないのれん代を資産として計上していたと発表した。
去る2024年には、東京支社の営業本部長が、いわゆる「ぼったくり店」がカード決済を利用できるよう、他人名義で加盟店契約を結ばせた疑いで警視庁に逮捕されている。
波紋が広がる中、財界からも厳しい声が上がった。経団連(日本経済団体連合会)の筒井義信会長は9日、「決済を扱う事業者は健全経営を徹底すべきだ」と指摘した。さらに、キャッシュレス決済が急速に広がっている現状を踏まえ、「国や地方自治体、企業、金融機関がそれぞれ必要な役割を果たすべきだ」と強調した。
















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