「首相官邸も霞が関も失われる」迫る首都直下地震、日本が“大阪”に託す国家存続計画
高市首相、大阪を指定する公算
野党反対で参院通過は不透明

衆議院は15日、東京に集中する首都機能を分散し、代替拠点となる「副首都」を指定するための法案を可決した。法案に特定の都市名は明記されていないものの、高市早苗首相が今後、関西最大の都市である大阪を副首都に指定する可能性が高い。もともと、連立与党の日本維新の会が地盤とする大阪を念頭に進められた法案だからだ。野党からは「大阪優遇法だ」との批判も出ており、参議院を通過できるかは見通せない。東京と大阪は直線距離で約400キロメートル離れている。
政府は副首都構想を進める理由について、東京が大規模災害によって首都機能を失った場合に備え、バックアップとなる都市が必要だとしている。特に、今後30年以内の発生確率が70%に達するとされる首都直下地震への備えが、法案の柱に据えられた。
15日に可決された副首都法案の第1章第1条には、「国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある大規模災害に備えて」、副首都の整備を進める趣旨が明記された。ここでいう大規模災害は、事実上、首都直下地震を指す。首都直下地震とは、東京を含む首都圏の直下にある地殻の浅い場所を震源として発生する大地震を意味する。政府は、首都圏のいずれかでマグニチュード7以上の直下地震が今後30年以内に発生する確率を70%と分析してきた。首都圏は陸側のプレートと海洋プレートが複雑に重なり、大小の地震が起きやすい構造になっている。
2025年12月に公表された政府報告書によると、首都直下地震が発生した場合、最悪のケースでは1万8,000人が死亡し、40万棟の建物が焼失または倒壊すると試算された。首相官邸や議員会館がある永田町、総務省、財務省、外務省などの政府機関が集中する霞が関も甚大な被害を受け、国家機能が失われる事態も懸念される。こうした事態が起きても直ちに国家機能を維持できるよう、あらかじめ副首都を指定しておく狙いだ。
法案が成立して施行されれば、内閣が基本方針と副首都の選定基準を明文化し、専門家委員会の評価を経たうえで、高市首相が副首都を指定する仕組みだ。大阪だけでなく、福岡や名古屋などの都市も申請し、選定を巡って競う可能性も否定できない。
具体的な制度設計はまだ固まっていないが、副首都に指定された地域には、国家機能をいつでも直ちに代替できるよう、国会や政府機関の第2庁舎を新設したり、一部の公的機関を移転したりする可能性も考えられる。また、副首都という名称にふさわしいインフラ整備や都市開発が進み、第2の経済拠点としての役割も見込まれる。政府・与党は、こうした整備によって東京一極集中の緩和にもつながるとの判断だ。
しかし、多くの野党議員は依然として、「巨額の予算が必要になるにもかかわらず、恩恵が大阪だけに集中し、地域の均衡ある発展につながらない」「災害対策が目的なら、最低限の機能を分散すれば足りる」「法案の完成度が低い」などの理由で反対している。自民党と日本維新の会による連立与党は、参議院で過半数に4議席届かない。国会は、17日に会期末を迎える今国会について、会期を1週間延長する方向で調整に入った。















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