
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、最近の戦況の流れを変える上で決定的な役割を果たした30代の国防相を電撃的に更迭した。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、今月12日(現地時間)、首相交代を含む大規模な内閣改造を予告したゼレンスキー大統領は15日、ミハイロ・フェドロフ国防相(35)を更迭し、後任にイホル・クリメンコ内相を充てると発表したという。
ゼレンスキー大統領は「戦争が新たな局面に入ったことから、政府に活力を吹き込むための内閣改造だ」と説明した。しかし、ウクライナ国内外では、戦時下で高い評価を受けていた将を交代させる形になったとの指摘が出ている。
フェドロフ前国防相は、ウクライナのドローン開発や人工知能(AI)技術を軸とした国防の近代化を主導した人物だ。米ソフトウエア企業パランティアのアレックス・カープ最高経営責任者(CEO)、Googleのエリック・シュミット元CEO、スペースXのイーロン・マスクCEOら、ビッグテック業界の大物との人脈を生かして国防の近代化を進め、「Army of Drones(ドローン軍)」を発足させ、高い評価を受けた。

副首相兼デジタル変革相を務めていた2022年3月には、暗号資産による取引が可能な政府公式の電子ウォレットを開設し、1億ドル(約162億4,000万円)の寄付金を集めたこともある。
最近、ウクライナがロシアへの攻勢を一段と強めていることに加え、フェドロフ氏が国防相に就任してからわずか6か月で更迭されたことから、その背景を巡ってさまざまな疑惑が浮上している。
報道によると、ゼレンスキー大統領の側近らは、フェドロフ前国防相が次期大統領選に出馬し、独自の政治路線を歩もうとしているのではないかと疑っている。突然の更迭の背景には、フェドロフ氏をけん制する狙いがあるとの見方だ。
次期国防相に指名されたクリメンコ内相は、警察出身の将官で、ゼレンスキー大統領の最側近の一人とされる人物だ。
更迭のもう一つの理由…「汚職を許さない性格」
一部では、フェドロフ前国防相が既成政界とは一線を画すイメージを築いたことも、更迭の理由の一つだとみられている。
FTは「フェドロフ氏はスタートアップ式の運営手法で、既成政界とは一線を画すイメージを築いた。しかし、従来型の軍上層部の一部にとっては、煙たがられる存在」と伝えた。
さらに「フェドロフ前国防相は、軍上層部や政界が国防調達契約を特定企業に集中させようとする動きを何度も阻止した。その過程で有力者と衝突することもあった」と付け加えた。
ウクライナのある銀行関係者はFTに対し、「フェドロフ氏の失敗は、あまりにも有名になったことだ」と述べ、「その上、非常に有能で、何よりも汚職を容認しなかった」と語った。
ゼレンスキー大統領「内閣改革は冬の総攻勢に備えるため」
戦時下で国防相を交代させるという思い切った人事に踏み切ったゼレンスキー大統領は、最近進めている一連の内閣改革について、今冬に予想されるロシアの大規模攻勢に備えるためだと強調した。

ロイター通信によると、ゼレンスキー大統領は、ユリヤ・スヴィリデンコ首相の後任に、国営エネルギー企業ナフトガスのセルヒー・コレツキー最高経営責任者(CEO)を指名したという。
ゼレンスキー大統領は15日、記者団に対し、「優先課題は明確だ。冬に備えることだ」と述べ、「あらゆる協議を経た結果、コレツキー氏がウクライナ首相に最も適した候補であることが明らかになった」と強調した。
一部では、今回の人事について、戦争の遂行そのものよりも、戦争を継続するための国家基盤を立て直すことに重点を置いた内閣改造だとの評価が出ている。ロシアは毎年冬になると、発電所や送電網を集中的に攻撃してきた。このため、ウクライナ政府は軍事面での対応とともに、エネルギー供給と経済運営を安定させることが、戦争遂行能力を左右する重要な課題だと判断している。
プーチン氏は見ているか…EUとウクライナ、ドローンを共同生産へ
一方、昨年末以降、自国で開発した長距離攻撃型ドローンなどを使ってロシアのエネルギー施設を集中的に攻撃し、戦況に変化をもたらしたウクライナは、最近、欧州連合(EU)とドローンを共同生産することで合意した。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は15日、ウクライナの首都キーウを訪問し、ウクライナとドローン協定を締結したと発表した。

今回の協定は、これまで個別の国とドローンの共同生産を含む防衛産業協定を結んできたウクライナが、協力の範囲をEUレベルにまで拡大したものだと評価されている。
ロイター通信は「今回の協定は、EU加盟国全体と企業を対象とした初めての合意という点で意味がある」と評価した。
EUは同日、ウクライナ支援のための900億ユーロ(約16兆7,400億円)の融資のうち、ドローン、ミサイル、戦闘機の調達に100億ユーロ(約1兆8,600億円)を充てる計画を承認した。ドローン支援には10億ユーロ(約1,860億円)が投入される。
フォン・デア・ライエン委員長はキーウ到着後、「ウクライナは軍事面で大きな勢いを築いている。戦況は変わりつつある」と述べ、「EUも900億ユーロ規模の融資を通じて支援を続けている」と強調した。
















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