
イランが低コストの無人機(ドローン)やミサイルを実戦投入する中、より安価な防空兵器の導入を目指す欧米政府や防衛企業の動きが加速している。英紙「Financial Times」が11日(現地時間)報じた。
ウクライナ紛争では、安価なドローンが極めて高い破壊力を持つことが実証された。その結果、敵軍用機や大型ミサイルの迎撃を主眼に設計された高価な従来型防空システムは、戦略的有効性の低下が指摘され始めている。中東での戦火拡大により、この認識は一段と強まっている。
湾岸諸国は現在、イラン製の安価な自爆型ドローン「シャヘド」を無力化するため、米国の「パトリオット」など高性能かつ高価格な防空ミサイルに依存している。イランは、ロシアがウクライナ侵攻で用いた戦術と同様に、シャヘドを周辺国やイスラエルへ大量に投下。米国やイスラエルが保有する高価な迎撃ミサイルを消耗させる「飽和攻撃」を展開している。
米シンクタンク「スティムソン・センター」のケリー・グリコ上級研究員は、イランがドローンに1ドルを投じるごとに、アラブ首長国連邦(UAE)などは迎撃のため、米国製の中距離防空システム「NASAMS」等に少なくとも10倍の費用を要していると分析する。同氏は、戦闘機や防空ミサイルに過度に依存する迎撃手法のコスト効率の悪さを指摘。ウクライナが前線で「迎撃用ドローン」の開発を主導しているのに対し、米国の対応の遅れに懸念を示した。
こうした中、欧米の防衛大手4社の経営陣によれば、中東諸国からの緊急調達に関する問い合わせが急増している。米国防総省も、ウクライナの防衛企業に対し迎撃用ドローンの仕様を照会したとされる。
既存の防衛大手も投資を加速させている。パトリオットを製造する米「RTX」は、低コストな迎撃用ドローンを米陸軍に公開。英「BAEシステムズ」が米国で製造する「APKWS(先進精密攻撃兵器システム)」も、大型誘導ミサイルの代替案として注目されており、ユーロファイター・タイフーンへの統合に向けた調査が進められている。
一方で、スタートアップ企業の台頭も著しい。ドイツの「タイタン・テクノロジー」、英国の「ケンブリッジ・エアロスペース」、ラトビアの「オリジン・ロボティクス」などは、大量のドローンが投入される現代戦において、迅速な技術革新の面で優位に立つとみられている。
防空システムの中核であるレーダー技術も変革期にある。従来型レーダーでは低空飛行するシャヘドの探知が困難なため、ウクライナ企業は飛行音を分析して識別する「音響センサーシステム」を実用化した。また、オランダの「ロビン・レーダー・システムズ」は、鳥類検知システムを転用したドローン探知レーダーを展開。1基あたり100万ドル未満という価格は、従来の防空レーダー(2,000万〜5,000万ドル)を大幅に下回る。
さらに、高出力レーザーやマイクロ波を利用した「指向性エネルギー兵器(DEW)」への関心も高まっている。米「RTX」や欧州「MBDA」などが巨額の投資を行っており、イスラエルの「ラファエル」は昨年、レーザー防空システム「アイアンビーム」を軍に引き渡した。英国防省も2027年までに、1発あたりのコストが約10ポンド(約2,000円)とされるレーザー兵器「ドラゴンファイア」を海軍艦艇に配備する計画だ。専門家は、実用化には初期投資の大きさなどの課題があるとしつつも、低コスト防衛の切り札として期待を寄せている。














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