
中国は南シナ海の係争海域にあるアンテロープ礁で大規模な人工島の造成に着手し、海上軍事拠点の拡張に再び乗り出した。世界の重要な海上輸送路である南シナ海で、中国の支配力強化と周辺国との緊張を同時に高める動きとみられている。
22日、ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、中国はここ数カ月、ベトナム沿岸沖の係争海域で、静かにかつ急速に人工島建設を進めてきた。中国は南シナ海の約90%に領有権を主張しており、その範囲にはベトナムをはじめ東南アジア各国が領有権を争う海域も含まれている。衛星写真には、海底やサンゴを掘り起こし、土砂を島へ積み上げる数十隻のしゅんせつ船が確認された。
問題の海域はパラセル諸島にあるアンテロープ礁で、中国と台湾、ベトナムがいずれも領有権を主張している。昨年11月以降の衛星写真によると、中国のしゅんせつ船はこの礁に三日月形の人工島を造成してきた。さらに、大型船がラグーン内に進入できるよう水路も掘削した。
わずか4カ月前までは海面下にあったこの礁には、4月に入り建物やヘリポート、複数の埠頭、未舗装道路などが整備された。NYTによると、島の規模はセントラル・パークのほぼ2倍に達し、現在も工事が続いているとみられる。中国が造成した人工島の中でも最大級の規模だ。
専門家らは、アンテロープ礁が完成すれば、中国にとって域内最大級の軍事前線基地の一つになる可能性が高いとみている。こうした人工島には通常、滑走路やレーダー、電子戦施設、ミサイル格納庫などが設置され、中国海軍と空軍が本土からより遠方の海域まで作戦範囲を広げる拠点となる。また、数千隻の民間漁船で構成され、中国の存在感を誇示する海警局や海上民兵も、こうした基地を活用してきた。
今回の工事は、中国による南シナ海での人工島造成が事実上再開されたことを示す動きと受け止められている。中国は2013年から2017年にかけて、南シナ海で20カ所以上の軍事前線基地を建設または拡張し、このうちスプラトリー諸島の3カ所とパラセル諸島の1カ所を、より大規模な軍事基地へと発展させた。当時、こうした埋め立て事業は規模と速度の両面で前例がなく、国際社会の批判を招いたほか、東南アジア周辺国や米国との関係悪化も引き起こした。
今回、建設が再開された背景をめぐっては、さまざまな見方が出ている。戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア海洋透明性イニシアティブに所属するハリソン・プレタット副所長は、中国がすでに係争海域に複数の拠点を保有していることから、「戦略的な狙いは必ずしも明確ではない」と指摘した。その一方で、ここ2年間、ベトナムがスプラトリー諸島内の自国支配下の島々で埋め立てや軍事施設の拡充を進めてきたことへの対抗措置である可能性があると分析した。
また、米国の動向も要因として指摘されている。プレタット副所長は、ドナルド・トランプ米大統領が前任者たちに比べ、中国による南シナ海の軍事化抑止にあまり重点を置いていないように見えると述べた。そのうえで、中国が「今回はこのまま押し切れると判断したのではないか」という、より大きな疑問があると指摘した。













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