
米国はイランとの停戦維持を公式に再確認しつつ、海上での圧力強化を並行して進める「二正面戦略」を継続している。全面戦争を避けつつ、交渉で優位に立とうとする狙いがあるとの分析もある。
ピート・ヘグセス米国防長官は5日の記者会見で、イランが米軍や商船を攻撃した場合、「直ちに徹底的で容赦のない反撃に直面する」と強く警告した。その一方で、「停戦は依然として維持されており、我々は戦闘を望んでいない」とも述べ、一線を引いた。
ドナルド・トランプ米大統領も同日、ホワイトハウスでの行事で、停戦違反の有無を問う質問に対し「すぐに分かるだろう」と述べるにとどめ、即答を避けた。イランが商船を攻撃し、アラブ首長国連邦(UAE)に向けてミサイルやドローンを発射したにもかかわらず、米国はこれを直ちに「停戦破棄」とは断定していない。
こうした対応からは、米国が紛争拡大の口実を作るよりも、状況の管理を優先する姿勢がうかがえる。実際に米ニュースサイトのアクシオスは、トランプ政権が「プロジェクト・フリーダム」を始める前に、イランへ計画を事前通告し、「邪魔をするな」とのメッセージを伝えていたと報じた。水面下の協議を通じて、衝突の可能性を抑え込もうとしたと指摘されている。
「プロジェクト・フリーダム」は、ホルムズ海峡で足止めされている約1,500隻の民間船舶の移動を支援する作戦で、実質的にはイランによる海上封鎖への対抗措置としての色合いが強い。米国は軍事衝突を避けつつ、海上の統制を通じた圧力でイランの資金源を断ち、交渉力を高める戦略をとっているとされる。
外交日程も今後の情勢を左右する変動要因となっている。今月14日から15日に予定されている米中首脳会談を前に中東での戦闘が再開すれば、外交的負担が大きくなりかねないことから、トランプ大統領が紛争の拡大を抑制しているとの見方が広がっている。
ただ、ホルムズ海峡で米イラン両国の軍事的な緊張が高まり続ける中、不測の事態による衝突の可能性は依然として排除できない。イランによる封鎖と米国による逆封鎖が対立する構図の下、偶発的な事態が大きな紛争に発展しかねない緊張状態が続いている。













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