
米ニューヨークに違法設置された中国の「秘密警察署」で嫌がらせを受けたとする生々しい証言が、裁判の場で示された。
香港紙のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が12日に伝えたところによると、米検察当局はルー・ジャンワン被告(64)について、中国の無許可代理人として活動した容疑や、外国代理人として活動するために共謀した容疑、さらには司法妨害の容疑などで起訴したという。
検察当局は、ルー被告がマンハッタンのチャイナタウンにある「長楽公会」の4階建ての建物内に、海外在住の中国系住民を監視し、嫌がらせを行うために使用されたとみられる警察署を設置するのに協力したと主張している。
これに先立ち、米連邦捜査局はニューヨークで「秘密警察署」を運営した容疑で、ルー被告とチェン・ジンピン被告ら男2人を逮捕している。
チェン被告は、2024年12月に中国のために許可なく活動した容疑について有罪を認めており、現在は判決を待っている。
ルー被告は11日の裁判で無罪を主張した。弁護側は、当該の場所は新型コロナウイルスの感染拡大期に海外に住む中国人が運転免許証を更新できるよう便宜を図っていた、単なるサービスセンターにすぎなかったと反論した。
裁判で政府側の証人として出廷し、自らを反体制派だと名乗ったシュイ・ジエ氏は、中国・福建省福州市が指揮するこの施設の設立に反対する抗議活動を行った後、嫌がらせを受けるようになったと語った。
シュイ氏は、「秘密警察署」が設置された後、カリフォルニア州ポモナの自宅からニューヨークに足を運び、設立に反対する抗議の様子をYouTubeで生中継したところ、その後嫌がらせを受けるようになったと証言した。
シュイ氏は「反体制派」という言葉の意味を理解しているかと問われ、自分自身もその一人だとしたうえで「中国政府を批判する人々の集団を指す言葉だと理解している」と答えた。
江蘇省南京の出身であるシュイ氏は、1989年の天安門広場での民主化運動に参加した後、2013年にラオスに亡命し、2018年に米国に渡った。
シュイ氏は、海外での秘密警察署の設立疑惑に対する抗議活動を生中継した前後に、罵声や殺害の脅迫を受け、1日に最大で176件もの電話が押し寄せたと証言した。
その一方で、誰がこうした行為に及んでいるのかは分からず、ルー被告とは会ったこともないと付け加えた。
しかしその後、検察当局はルー被告の携帯電話から見つかったメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」のやり取りを公開した。そこには、福州市の警察当局がシュイ氏の身元確認のために情報の収集を求めるメッセージと共に、シュイ氏が住むポモナのホルト・アベニューという住所が記されていた。
駐米中国大使館のリウ・ポンユー報道官は、この事件の詳細については把握していないと述べた。
そのうえで「中国は法の支配を守り、国際法を厳格に遵守し、すべての国の司法主権を尊重する国だ」と強調し、「いわゆる秘密警察署というものは存在しない」と語った。
シュイ氏は証言で、ポモナの事務所の裏に止めていた自分の車が2度にわたって破損されたほか、自宅や事務所にも合わせて5回の侵入の被害があったと話した。
これらの事件が今回の事件と直接的に関係していることを証明することはできないとしつつ、中国を離れてから長期間続いている嫌がらせの一連の流れに含まれるとみているとも語った。
シュイ氏は、出国の前に中国国内で100回を超える逮捕を経験しており、自身が営んでいた農場の事業も政府による組織的な弾圧によって倒産に追い込まれたと考えているとも付け加えた。
ルー被告の弁護人ジョン・カーマン氏は、シュイ氏が中国政府や中国共産党に抗議の声を上げているのは単に金銭が目的であり、YouTubeのチャンネル運営によって当初は月7,000ドル(約110万4,000円)の収入を得ていたことを根拠に、一種の復讐心に駆られた行動だと主張した。
これに対しシュイ氏は「金銭目的では決してなかった。現在では配車サービスLyft(リフト)の運転手や宅配会社での仕事をしており、YouTubeで得る収入はごく一部にすぎない」と反論した。














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