
ドナルド・トランプ大統領率いる米政権は、連邦最高裁判所が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税を違法と判断した後も、各国と結んだ既存の貿易合意は撤回せず維持し、関税政策を継続する方針を示した。
米国のスコット・ベッセント財務長官は2月22日(現地時間)、CNNのインタビューで、海外の貿易相手国と継続的に協議しており、いずれの相手も既存の貿易協定の維持を望んでいると説明した。そのうえで、米国内への工場回帰と大規模な貿易不均衡の是正という目標を着実に進めていると強調し、通商法122条に基づく関税を直ちに適用すること、2026年の財務省の関税収入見通しに変更はないことが重要だと述べた。
米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリアー代表も同日、CBSのインタビューで、米国は既存の貿易合意を順守する方針であり、相手国も同様に対応すると期待していると語った。貿易合意が無効化されたと主張する国は現時点でないとの認識も示している。
グリアー代表は、IEEPAを根拠とした相互関税に連邦最高裁判所が違法判断を示した後、欧州連合(EU)が状況を見極めている中で、米国との貿易合意がどうなるのかと問われ、EUや各国政府関係者と連絡を取っている、または取る予定だと説明した。訴訟の勝敗にかかわらず関税政策は続くとこれまで述べてきたため、訴訟が進行中でも各国が合意に署名したのだとの見解を示している。
さらにグリアー代表は、政策の連続性を強調した。不公正な貿易慣行に対する通商法301条に基づく関税は現在も有効であり、こうした代替手段を通じて追加調査や関税措置を講じることで、トランプ大統領の通商政策に継続性を持たせることが可能だとの考えを示した。
トランプ大統領は2月20日、最高裁判断を受けて通商法122条に基づく一律の「グローバル関税」10%を導入すると発表し、翌日にはこれを15%へ引き上げる方針を明らかにした。122条に基づく15%関税は最長150日の期限があり、延長には議会の承認が必要となる。政権側は、この15%関税が適用される約5か月の間に、301条に基づく各国の不公正貿易行為の調査や、通商拡大法232条に基づく特定輸入品目が米国の国家安全保障を脅かすかどうかの調査を進め、相互関税に代わる新たな関税措置へ移行する構想を描いている。
この点についてベッセント財務長官は、122条による15%関税は232条と301条の調査が進む5か月間の橋渡しとなる可能性が高いと述べた。5か月後に122条の措置が終了することはあり得るが、新たな関税措置が再び導入される可能性は高いとの見通しも示している。
グリアー代表はABCのインタビューで、15%関税の期限が約5か月後に切れる時期には中間選挙を控えた議会が延長に協力しにくいのではないか、また世論調査で米国民の約3分の2が関税に不満を示しているとの指摘について問われた。これに対し、政策自体に変更はなく、実施に用いる法的手段が変わる可能性はあっても方針は同じであり、継続性を追求するとの立場を強調した。
グリアー代表は301条調査に関連し、USTRはブラジルと中国を対象に調査を進めているほか、産業面で過剰生産を続けてきたアジアの複数国も含める考えを示した。不公正な貿易慣行や海外のコメ市場を精査しており、多額の補助金が米国内のコメ農家に打撃を与えているとの認識を示している。
一方、グリアー代表は、今回の連邦最高裁判所の判断がトランプ大統領の中国訪問や習近平中国国家主席との会談に影響を与えないとの見通しも示した。3月末から4月初めに予定されている会談は予定通り実施され、成功するとの認識を示している。
会談の目的についてグリアー代表は、中国が約束した物品購入を継続しているか、希土類の供給を続けているかなど合意履行状況を確認することだと説明した。中国と対立すること自体が狙いではなく、米国内の大豆生産者や中国向けに航空機や医療機器を販売する関係者、中国以外では入手が難しい物品を輸入する関係者にとっての安定性を確保することが重要だとも強調した。さらに、15%のグローバル関税は特定国のみを対象としたものではなく全世界に適用する措置であり、会談の目的は貿易対立ではなく安定の維持と合意履行の確認にあるとの見解を示している。
















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