
米連邦最高裁がトランプ政権の緊急関税を無効と判断した直後、ホワイトハウスが代替手段として打ち出した通商法122条に基づく関税措置も、法的・政治的な難関に直面しているとの見方が出ている。CNNは23日、トランプ大統領の関税戦略全体が揺らいでいると報じた。
報道によると、ドナルド・トランプ大統領は最高裁判決後、新たなグローバル関税体系の推進を図っているものの、現在選択している法的手段そのものが構造的に脆弱で、再び司法の制止を受ける可能性が高いという。
焦点となっているのは、トランプ大統領がプランBとして持ち出した通商法122条だ。従来の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく全面関税が違法判断を受けたことを受け、最大15%のグローバル関税を150日間課すことが可能な122条へと方向転換した。しかし同条項は、これまでトランプ政権が主張してきた貿易赤字問題の解消を目的に制定された法律ではない点が最大の弱点と指摘されている。
122条は「大規模かつ深刻な国際収支の赤字」が生じた場合に限り、大統領が一時的に関税を課すことを認めている。一方、トランプ政権がこの1年間、関税の正当化根拠として掲げてきたのは「貿易赤字」だった。二つの概念は全く異なっている。貿易赤字は商品取引の差額を意味するのに対し、国際収支は資本移動や金融取引を含む対外取引全体の均衡を指す。実際に米国の国際収支はほぼ均衡状態にあるとの分析も出ている。
元連邦検事で保守系法律家のアンドリュー・マッカーシー氏は、ナショナル・レビューへの寄稿で「この新たな関税はIEEPA関税よりも明らかに違法となる可能性がある」と指摘した。現在の米国は貿易収支の問題に直面しているにすぎず、国際収支の危機ではないとし、基軸通貨ドルへの資本流入が続く状況では122条発動の要件自体が成立しないと論じた。マッカーシー氏は「米国の国際収支は均衡状態にあり、危機は存在しない」とし、トランプ大統領は法が求める前提条件を「全く満たしていない」と評価した。
問題はトランプ政権側が最高裁判決を前に裁判所へ提出した文書の中で、すでにこの違いを認めていた点にもある。政権は当時「貿易赤字は国際収支赤字と概念的に区別される」とし、122条が当該事案に「明確に適用されるとは言い難い」と説明していた。米議会調査局によれば、1974年の法制定以降、122条が関税賦課に用いられた例は半世紀にわたり一度もない。このため、今回の新たな関税措置は、従来の緊急関税よりも法的に脆弱となる可能性があるとの評価も出ている。
関税の実効性の面でも状況はトランプ大統領に不利とされる。122条関税は税率上限が15%に制限され、適用期間も最長150日に過ぎず、その後は議会の承認が必要となる。上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務はこの日「150日以降の122条関税延長を阻止する」と表明した。これにより、トランプ大統領が過去のように特定国を狙い即時に関税を引き上げたり、交渉圧力として活用することが難しくなる可能性がある。
さらに、トランプ政権が122条関税の満了する150日後を見据えて並行して検討されている通商法301条についても、短期間で「恒久関税」へ転換するのは困難との見方がある。301条は対象国の不公正慣行の立証、企業からの意見提出、公聴会、経済影響分析など準司法的手続きを経る必要があり、調査だけで6カ月から1年以上を要するとされる。通商関係者の間では、トランプ大統領が想定する150日の時間枠内に主要貿易相手国への調査を完了させるのは、事実上不可能に近いとの指摘が出ている。
CNNは「外国政府の立場からすれば、トランプ政権の交渉圧力を感じるよりも、(150日を)待てばよいとの計算をする可能性がある」と分析した。関税が数カ月以内に終了する可能性が高いなら、交渉に応じるより静観する方が有利との判断が働き得るという。
特に共和党内にも関税政策への懐疑論が存在する中、再び司法で敗れる事態となれば、議会での支持基盤にも影響が及ぶ可能性が指摘されている。11月の中間選挙を控え、関税が政治的負担となり得るとの見方もある。トランプ大統領は最高裁判決後、自身が「より強くなった」と主張しているが、実際には活用可能な政策手段が大きく狭まったとの評価が広がっている。
















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