「対応が遅れた、その代償は25%安」IBM株を沈めた“CEOの告白”

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米国を代表するテクノロジー企業のIBM株が、わずか1日で25%急落した。米IBMのアービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)が、同社は人工知能(AI)を巡る変化への対応が遅れ、その影響で4~6月期の業績が市場の期待に届かない見通しだと明らかにしたことから、投資家の売りが膨らんだ。

IBMは14日(現地時間)、プレスリリースで、4~6月期の暫定売上高が前年同期比1%増の172億ドル(約2兆7,900億円)にとどまるとの見通しを示した。ウォール街の予想である178億ドル(約2兆8,900億円)を下回る水準となる。調整後1株当たり利益も2.93ドル(約475円)と見込まれ、市場予想の3.01ドル(約490円)に届かなかった。

発表後に株価は急落し、前日比25.21%安の217.07ドル(約3万5,200円)で取引を終えた。ブルームバーグ通信は、1日の下落率として1968年以来、58年ぶりの大きさだと報じている。

テクノロジー業界がAI中心へ再編されるなか、IBMが変化に十分対応できなかったとの自己評価が、株価急落の引き金となった。これまでグーグル、マイクロソフト(MS)、アマゾン、メタ、オラクルなどのハイパースケーラー(大規模なコンピューティングインフラを運営する企業)は、各社が数千億ドル(約数十兆円)規模の資金をAIインフラへ投じる方針を打ち出している。一方、IBMはコンピューティングインフラよりも、ソフトウェアやクラウド、量子システムの開発に注力してきた。顧客である銀行がIBM製ソフトウェアの購入よりもコンピューティングインフラの確保を優先し、そちらに資金を振り向けたことで、IBMが直接的な打撃を受けた形だ。

米IBMのクリシュナCEOは「我々は十分な速さで適応し、行動することができなかった。大型案件の多くが想定した日程内に成立せず、これが今回の業績不振の大半を招いた」と述べた。さらに「今回のメインフレームプログラムは当社史上、最も力強いスタートを切ったため、4~6月期のインフラ部門の売上高は前年同期比で1桁台前半の減少率になると予想していた。しかし、実際の結果は見込みより悪かった。主因は、トランザクション処理部門におけるIBM Zシリーズと関連ソフトウェアの低迷だ」と説明している。

銀行はクレジットカード決済や株式取引などにIBMのプラットフォームを利用している。ところが、銀行がソフトウェアの購入や更新に資金を使わず、半導体価格の上昇を意味する「チップフレーション」に備えてハードウェアへの支出を優先したため、IBMが直撃を受けたという。クリシュナCEOは「6月最後の数週間、顧客が予想される値上げを前に、供給が限られたインフラを確保するため、四半期の設備投資をサーバー、ストレージ、メモリーの購入へ振り向ける動きを目の当たりにした。この変化は顧客の購買パターンに影響を与えた。サプライチェーン関連の影響はある程度見込んでいたが、設備投資の優先順位がどの程度組み替えられるかまでは予想できなかった」と語った。

IBM株の急落を受け、サービスナウが5.76%、アドビが4.26%、ワークデイが3.49%、セールスフォースが2.14%下落するなど、ソフトウェア企業の株価も大きく値下がりした。市場調査会社eMarketer(イーマーケター)のジェイコブ・ボーンアナリストは報告書で「AIインフラの構築により、設備投資は既存のソフトウェアやサービスから、メモリーチップなどのハードウェアへ移っている」と指摘した。そのうえで「市場は、AI競争で後れを取る兆候を示すレガシー企業(従来型の大手企業)に厳しい判断を下すだろう」と分析している。

竹内智子
竹内智子

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