「止めて、売らせて、また止めた」4カ月間“迷走し続ける”トランプのイラン原油政策

ドナルド・トランプ米大統領は14日午後4時(米東部時間)、イランの港湾を出入りする船舶に対する海上封鎖を再開した。6月に米国とイランが締結した終戦に関する了解覚書(MOU)に基づき封鎖を解除してから1カ月足らずで、再びイラン産原油の輸出ルートを遮断した形だ。戦闘開始以降、イラン産原油を巡って制裁強化と緩和、海上封鎖の実施と解除を繰り返しており、トランプ政権の対イラン政策は一貫性を欠いているとの指摘も出ている。
米国は戦闘開始直前の2月25日、イランの原油輸送網に対する追加制裁を発表した。3日後の2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始し、戦争が始まった。そして、イランがホルムズ海峡を封鎖したことで国際原油価格は急騰した。
こうした状況を受け、トランプ政権は逆にイラン産原油の市場供給を一時的に認めた。戦闘による原油価格の高騰を抑えるため、海上で待機していたイラン産原油の販売を30日間に限り容認したためだ。イランの資金源を断つとして軍事行動に踏み切った一方で、原油価格の上昇を受けてイラン産原油の販売を認めるという矛盾した対応となった。
しかし、この措置も長くは続かなかった。4月12日にパキスタン・イスラマバードで行われた米国とイランの高官協議が決裂すると米国は、翌13日午前10時からイランの港湾を出入りする船舶への海上封鎖を開始した。イラン産原油の輸出を阻止し、外貨収入や戦費を断つ狙いがあった。
ところが、海上封鎖を実施した後も原油制裁は一方向には進まなかった。米国は4月下旬にイラン産原油の販売に関する一部制裁の猶予措置を再び延長した。米海軍がイランの港湾を出入りする船舶を封鎖する一方で、イラン産原油の販売は一定期間認めるという相反する政策が同時に実施された。
その後、6月17日に米国とイランが終戦に関するMOUを締結すると、政策は再び緩和へと転じた。米国はイランの港湾に対する海上封鎖を解除し、原油制裁の猶予措置も拡大した。イランはその見返りとしてホルムズ海峡の航行を再開し、核協議やその後の和平協議に応じることで合意した。
しかし、停戦は1カ月も続かなかった。イランがホルムズ海峡を航行する商船への攻撃を再開し米国が大規模な報復空爆に踏み切ったことで、MOUは崩壊した。米国はイラン産原油に対する制裁猶予を撤回するとともに、14日午後4時から海上封鎖も再開した。
この結果、トランプ政権の対イラン原油政策はこの約4カ月間で「制裁強化、原油販売容認、海上封鎖、制裁猶予延長、海上封鎖解除・原油販売容認、海上封鎖再開」と大きく揺れ動いた。イランの資金源を断つという目標と米国内の原油価格を抑えたいという政策目的が衝突するたびに方針が転換された格好だ。
最大の問題は、一度緩和した制裁の効果を後から打ち消すことはできない点にある。イランは原油販売が認められた期間中に備蓄原油を市場へ供給し、外貨を確保する時間を得た。一方、米国は海上封鎖を再開したことで、イランの輸出や財政への圧力を改めて強める必要に迫られている。
トランプ政権はイランが合意に違反して商船への攻撃を再開したため海上封鎖を復活させたとしている。しかし、合意によって得られた実質的な成果は失われた一方、イランが制裁緩和期間中に確保した資金や輸出余力は残ったとの見方もある。原油価格を下げるためにイラン産原油の販売を認め、その後、イランへの圧力強化のため再び輸出を封じる政策を繰り返したことで、結果的に米国自ら対イラン圧力の継続性や実効性を損ねたとの批判も出ている。

















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