引用:X
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米国カリフォルニア州ノースハリウッドで奇妙な車両窃盗事件が発生した。ポルシェを盗もうとした泥棒がエンジンをかけられず、車両をピックアップトラックの後部に縛り付けてそのまま引きずって逃走した。

警察(LAPD)によると、事件は16日(現地時間)午前6時27分頃、トゥハンガアベニュー(Tujunga Avenue)付近で起きた。警察は、男がポルシェを盗もうとしているとの通報を受け現場に急行した。

だが、警察が到着した時点でポルシェにはエンジンがかかっておらず、運転席も空だった。配線を接続して強制的にエンジンをかけた形跡もなかった。代わりに車両は牽引ストラップでピックアップトラックの後部に縛り付けられていた。

ピックアップトラックの運転手が警察の停車命令を無視したため、追跡が始まった。運転手不在の灰色のポルシェは数ブロックにわたって路上をそのまま引きずられた。車両前部は縁石と路面を繰り返しこすり、大きく損傷。最終的に牽引ストラップが切れ、洗車場前で滑って停止した。

ピックアップトラックはその後も約10分間逃走を続けたが、警察はシャーマンウェイとキャナルループ付近で運転手を逮捕した。容疑者は重罪に当たる警察追跡逃走の容疑で逮捕された。

今回の事件が注目を集めたのは、追跡劇よりも車両の盗難方法にある。自動車窃盗は過去、配線を直接接続してエンジンをかけて逃げる「直結始動」方式が一般的だった。だが、1990年代半ば以降、暗号化チップを使用したイモビライザーが普及し、状況が変化した。

ポルシェをはじめとするドイツの自動車ブランドは、イモビライザーと純正警報システムを比較的早期に積極導入した。登録されたキーの暗号化情報が一致しなければ、配線を接続してもエンジンが始動しない。

最新のポルシェには傾斜検知センサーや室内動作検知機能、不正牽引を検知する警報システムまで搭載されている。このため、ここ20〜30年間に生産された車両では、映画に登場する伝統的な直結始動方式が事実上通用しなくなった。

窃盗犯が車両を直接運転せず、丸ごと牽引する理由もここにある。路上でセキュリティ装置を迅速に無効化できないなら、まず車両を別の場所に移動させてから電子装置を解除したり、部品を分解する方法が代替手段となる。

近年では複製スマートキーや信号中継装置、OBD端子用プログラミング装置などを利用した高度な車両窃盗が増加している。一方、今回の事件では複製装置もノートパソコンも不要だった。牽引ストラップとピックアップトラックだけを使用した極めて原始的な手法だった。

犯人はポルシェのセキュリティシステムを巧妙に回避する装置や時間がなく、結局物理的な力で車両を移動させようとしたとみられる。問題は、盗難車両を取り戻しても、無傷の状態で戻ってくるとは限らない。今回のポルシェのように車体前部が路面に引きずられた場合、修理費が車両価値を上回る可能性がある。

最新のポルシェの前面には単にバンパーと車体パネルだけでなく、アダプティブクルーズコントロール用レーダーや駐車センサー、ラジエーター、エアコンコンデンサーなど高価な部品が低い位置に集中している。

車体の軽量化のためアルミニウムパネルや構造物も多用されている。アルミニウムは一般的な鋼鉄パネルのように単純に伸ばしたり叩いたりする方法では復元が難しい。専用の装置と専門教育を受けた技術者が必要で、損傷が激しい場合は部品全体の交換が必要となる。

車両前部が数百メートル以上路面に引きずられた場合、保険会社が経済的修理不可能と判断し、全損処理する可能性もある。

現代の盗難防止技術は、過去のように数十秒で車両を盗んで逃げる行為を困難にした。しかし、その結果、一部の犯罪者は複製スマートキーや電子装置、強制牽引といったより過激な手法を用いるようになっている。

山田雅彦
山田雅彦

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