
ドナルド・トランプ大統領は17日(現地時間)、日本の初の対米投資プロジェクトとして指名したテキサス州の石油・ガス、オハイオ州の発電所建設、ジョージア州の重要鉱物事業を、トランプ政権が全面的に支援を約束した「戦略産業」と位置付けた。
総額360億ドル(約5兆6,000億円)が投入される、これら3つの事業は、それぞれ「エネルギー覇権」「人工知能(AI)競争」「重要鉱物独立」といった経済安全保障課題を象徴しており、トランプ政権の産業政策の優先順位を垣間見ることができる。
特にこれらの事業が11月の中間選挙を前に「共和党州」と分類される地域に集中している点から、トランプ大統領の選挙戦略が反映されているとの見方も出ている。
ハワード・ラトニック米商務長官はこの日発表した声明で、投資が決定されたこれらの産業を挙げ、「我々の経済の核心分野」と説明した。
ラトニック長官は最初にオハイオ州に建設予定の天然ガス発電施設を挙げ、「歴史上最大規模」とし、発電容量は9.2ギガワット(GW)になると述べた。この施設が電力網の安定性を強化し、基幹電力を拡充し、米国の製造業を支援するためのものだと強調した。オハイオ州の天然ガス発電施設は州都コロンバスから近いポーツマス近くに建設される。このプロジェクトは日本ソフトバンクの子会社「SBエナジー」が担当する。この事業には330億ドル(約5兆1,000億円)が投入される。この日発表された全体投資額の90%以上が発電所事業に集中することになる。
ポーツマスから約160km離れた都市ニューオールバニにはメタ、グーグル、アマゾンなど主要なビッグテック企業のデータセンターが集中している。米国商務省は、この日発表したファクトシートで、今回建設される発電施設が主にAIデータセンターに必要な電力を供給すると説明した。この事業は中国のAI躍進を抑制し、米国のAI加速政策を支えるための選択と解釈されている。
ラトニック長官はテキサス州のプロジェクトについて「米国内(メキシコ湾)に深海原油輸出施設を建設する」と明らかにした。「年間200億(約3兆円)~300億ドル(約4兆7,000億円)規模の米国原油輸出を創出し、精油所の輸出能力を確保し、世界の先導的なエネルギー供給国としての米国の地位を固めることが期待される」と伝えた。この施設はテキサス州ブラゾリア郡近くに建設され、投資費用は21億ドル(約3,262億円)規模になると商務省は伝えた。米国の原油輸出を画期的に増大させるための施設で、トランプ政権の「エネルギー覇権」を支援するプロジェクトと見なされる。

ラトニック長官はジョージア州の重要鉱物施設について「合成産業用ダイヤモンド製造能力を構築する」とし、これにより先端産業と技術に必須な産業用ダイヤモンドの生産を米国内で賄うことになると指摘した。ここで生産される製品は高圧・高温合成ダイヤモンドグリット(Grit・粉末)で、半導体や自動車、石油・ガス産業に必須に使用される素材だ。現在、合成ダイヤモンドの生産量の90%以上が中国から出ているほど、中国が世界供給網を掌握している。これはトランプ政権が中国に対する重要鉱物依存度を下げるための努力の一環と解釈される。トランプ政権は最近、重要鉱物貿易ブロック「フォージ(FORGE)」の発足を主導するなど、重要鉱物供給網の多様化に総力を挙げている。商務省によれば、ジョージア州の事業は大手ダイヤモンド企業デビアスの子会社エレメントシックスが推進し、6億ドル(約932億円)が投入される。
トランプ政権が投資を決定した地域は「共和党の地盤」という共通点もある。このため、トランプ大統領が「地元の支持者」を守るための政治的判断を下した可能性も考えられる。特に共和党の本拠地とも言えるテキサスでは最近、共和党候補が民主党候補に連続して敗れるなど異常な兆候が感知されており、トランプ大統領の危機感が反映されたのではないかとの見方も出ている。トランプ大統領は前日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルにテキサス州に出馬する候補者を支持する投稿を連続して掲載した。
オハイオはJ.D.ヴァンス副大統領の本拠地であり、ジョージアはトランプ大統領の「必勝カード」として、トランプ政権と共和党にとって最も重要な地域とされている。
この日、高市早苗総理は日本の対米投資初のプロジェクトが決まったことに関連し、日米が供給網を構築し結束を強化することになると強調し、肯定的な反応を示した。高市総理は、この日SNSエックス(X)に「日本と米国間の関税協議に基づいて合意した『戦略的投資イニシアティブ』初のプロジェクトに両国の意見が一致した」と述べた。高市総理は、これらのプロジェクトについて「重要鉱物、エネルギー、AI・データセンターなど経済安全保障上重要な戦略分野で日本と米国が協力し供給網を作り結束を強化すること」と強調した。続けて「日本企業は関連設備・機器供給などで売上が増加し、ビジネスも拡大する見込みだ」とし、対米投資プロジェクトが日米相互利益促進、経済安全保障確保、経済成長促進などに合致すると述べた。
日本経済新聞(日経)は今回のプロジェクトに日本企業が大挙参加する見込みだと予想した。天然ガス発電施設に関しては、プロジェクトを総括するソフトバンクグループのほか、日立製作所などが関連機器供給に乗り出すと報じた。合成産業用ダイヤモンドについては旭ダイヤモンド工業とノリタケなどが購入に関心を示していると分析した。テキサス州の原油輸出に関しては商船三井、日本製鉄、JFEスチール、三井海洋開発などの参加が挙げられている。
日本工業大学大学院の田中道昭教授は日経に「今回の投資案件は日本が支払うべき関税費用を米国のインフラ資産に置き換えたものだ。これが日本国内の産業空洞化に影響を与えず、ポジティブに還流する構造を作ることが重要だ」と指摘した。2号投資プロジェクトも高市総理が来月訪米を控えており、事前調整が進んでいると伝えられている。
















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